売却地の売主への返還,債権債務契約の破棄などを規定した朝廷・幕府・大名などの法令。751年(天平勝宝3)に749年以前の債務契約の破棄を宣言した例があるが,1297年(永仁5)鎌倉幕府発令の,質入・売却した御家人所領の回復を図った永仁の徳政令が最も有名。その発令は御家人以外の広範な人々にも旧領回復の行動をひきおこした。以後鎌倉末~南北朝期にも何度か発令され,室町時代には徳政を求める土一揆の頻発により幕府の手で頻繁に発令された。分一銭(ぶいちせん)の納入を条件とする分一徳政令も発せられた。現代人には経済界を混乱させるかにみえるこの法令は,中世人独特の所有観念においては抵抗なくうけいれられたとされる。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…1297年(永仁5)3月,鎌倉幕府の発令した徳政令。そのおもな内容は,(1)今後御家人所領の売買・質入れを禁止する,(2)すでに売買・質入れされた所領は,無償で本主に返付させる,(3)ただし買得安堵状を下付されたもの,または20年の年紀を超過したものは除外する,(4)債権債務に関する訴訟を受理しない。…
…本来は嘉吉年間(1441‐44)に起きた土一揆の総称とすべきであるが,一般的には1441年(嘉吉1)の大規模な土一揆を指す。同年8月に起きた近江国の土一揆は,守護六角氏を攻めて徳政令を発布させることに成功したが,その法令は明らかでない。ただしこの過程で同国奥嶋・北津田両荘では,沙汰人の名で独自の徳政令が出され,その法令が高札の形で伝えられているところから,在地徳政令の一つとして有名である。…
…1441年(嘉吉1)秋,土一揆を契機として発布された室町幕府の徳政令。この年6月,将軍足利義教が赤松満祐に暗殺されるという事件(嘉吉の乱)が起こり,世情騒然としていたところ,9月初めより京都近郊の農民が一斉に蜂起した。…
…鎌倉時代も後半になると御家人役の負担をめぐって一族間で惣領庶子間の争論も多くなり,また貨幣経済にまきこまれて御家人間の貧富の差が著しくなり,窮乏して所領を失う御家人も多くなった。幕府ははじめ恩領の売買を禁じ,ついで私領の売買にも制限を加え,ついには全面的に禁止し,1297年(永仁5)の徳政令では御家人以外の者の売得した御家人領は無償で取り戻せることにするなど,御家人領の保護につとめたが,一方では所領をもたないものでも御家人(無足御家人)として認めざるをえなくなってきた。かくして守護級の有勢御家人と弱小御家人,東国御家人(西国所領へ地頭として入部)と西国御家人(在国御家人),御家人一族内の惣領と庶子,外様御家人と御内人(みうちびと)(北条氏家督の被官)の対立等が鎌倉時代末期には深刻化し,鎌倉幕府滅亡の一因となったのである。…
…1428年(正長1)に各地で起きた土一揆の総称。8月には近江国で徳政令を要求した一揆が蜂起し,同月守護六角氏は8月中に〈山上山下一国平均〉の徳政令を出した。ついで9月には醍醐など京郊の一揆の蜂起が見られたが,これは幕府の軍勢によって鎮圧された。…
…古代以来,異常な自然現象たとえば彗星の出現,大地震などに際して,そこからひきおこされる災害を免れるために特別の仁政を行うことを〈徳政〉と称したが,中世では徳政令を中核とした一種の政治改革をさす。とくに鎌倉時代後期の弘安~永仁期(1278‐99)に,外敵の侵入という未曾有の難局に当面した公武両権力が行った徳政(永仁の徳政)は大きな社会的反響をひきおこし,これ以後徳政はほとんど徳政令の同義語と化した。…
…請文の提出によって未進年貢額が確定すると,荘官は当該年次の荘園の収支を計算した算用状を作成したが,それとともに未進百姓別の未進額を記した未進徴符を作成するのが通例であった。1428年(正長1)興福寺が奈良に発布した徳政令では,昨年以前の未進年貢が徳政令の対象となっているが,これは未進年貢に利子が付されたことと関係があるものと考えられる。【黒川 直則】 近世では,年貢などの賦課物を納入することを上納(じようのう)といい,領主からの割付(わりつけ)額を全部上納することを皆済(かいさい)といった。…
※「徳政令」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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