化学辞典 第2版 「同位体希釈法」の解説
同位体希釈法
ドウイタイキシャクホウ
isotope dilution method
一般には,放射分析の一方法として知られている.希釈法と逆希釈法の2種類がある.分析対象試料中のある元素の定量を行うために,その元素の比放射能既知な一定量の放射性同位体を加え,その元素を化学分離したのち,比放射能の変化から試料中に最初に存在した元素量を知る方法を,希釈法または希釈分析法とよぶ.逆に,比放射能既知で全量未知の元素の定量に,一定量の非放射性同位体を加えて単離して,比放射能の変化から,最初に存在した放射性元素の定量を行う方式を,逆希釈法または逆希釈分析法とよぶ.また,自然における各元素の同位体存在度が一定であることを利用して,特定の質量数の同位体を濃縮したもの(安定濃縮同位体,enriched isotope)を試料に加え,質量分析,そのほかの手段で同位体存在度の変化を測定して,その元素の定量を行う方式もあり,これをも含めて同位体希釈法とよばれている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報