吹きガラス(読み)ふきがらす(英語表記)blown glass

日本大百科全書(ニッポニカ) 「吹きガラス」の意味・わかりやすい解説

吹きガラス
ふきがらす
blown glass

ステンレス等のパイプ管で溶解したガラスを巻き付けて、息を吹き込みながら成形するガラス工芸手法。大きなガラス器を作製する場合は、息を吹き込んだガラスの塊の上に溶解ガラスをさらに巻きつけ息を吹き込む。宙空で一切の型を使わずにベンチとよばれる作業台の上で洋ばし(ジャック)やコテを用いて自由に成形する宙吹きと、型の中に溶けたガラスを吹き込み成形する型吹きの2種類がある。宙吹きガラスとしては長崎ちろり(酒器)が有名で、型吹きとしては角形、菊花形、草花文様などがある。

[伊藤節郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「吹きガラス」の意味・わかりやすい解説

吹きガラス
ふきガラス
glassblowing

前1世紀頃に発明されたガラス成形技法1本の金属パイプの先端に溶解ガラスを巻取り,息を吹込んでふくらませ,器などを成形する。この技法によって,従来コア・テクニックという1型で1個しかできなかったガラス製作法に革命を起し,多量生産を可能にしてガラス産業発達の基礎をつくった。以後今日にいたるまで使われている最も基本的なガラス成形技法である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の吹きガラスの言及

【ガラス工芸】より

…ガラス工芸の対象とするジャンルは,実用目的をもつ容器や建築用材,室内装飾品のほか,実用機能をもたない芸術作品にいたるまで幅が広い。
【成形と加飾】
 ガラス工芸に使われる道具類は,吹きガラス技法が始まったローマ時代以来,基本的にはあまり変化していない。現在では,ガラスを吹くための吹きざお,ガラス種を切り取ったり,口縁部を切り整えたりするはさみ,成形用の木ばし,金ばし(西洋ばし),こて板,ガラス種を整えるための整(なら)し台,りん台,木製ブロック,それに職人が座って成形するブロー台が基本的な道具類である。…

【フェニキア】より

…例えば,デロス島やパレスティナのマリサやシケムにそのような痕跡が残っている。 ローマ時代になると,前代からの染色産業と並んで,海岸のケイ素分の多い砂を原料とするガラス産業が発達し,とりわけ吹きガラスの技術はこのころシドンで発明されたとされる。ユスティニアヌス帝時代には中国から蚕が導入され,絹の生産が始まった。…

※「吹きガラス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android