和射郷(読み)わさごう

日本歴史地名大系 「和射郷」の解説

和射郷
わさごう

和名抄」高山寺本は「知射」と書き、「々読如左」と注記し、同書伊勢本・東急本・名博本は「和射」と書いている。七一〇年代前半の長屋王家木簡のなかに「長郡和社里 白米五斗」とあり、この「和社」は和射とみてよい。さらに天平勝宝―天平宝字年間(七四九―七六五)のものと推定される平城宮跡出土木簡に「阿波国那賀郡中男海藻六斤 和射」とあり、これも当郷をさすとみてよい。この郷について「阿波志」海部かいふ郡の部では「今廃日和射浦存」として現海部日和佐ひわさ町付近に、「阿府志」は「宮倉ヨリ坂野森立江櫛淵中ノ庄黒地方角ナリ根元ハ宮倉村和耶ノ神ヨリノ号也」として、延喜式内社とされる和耶わや神社のあった宮倉みやぐら(現羽ノ浦町)を中心に立江たつえ櫛淵くしぶち(現小松島市)および中庄なかのしよう(現羽ノ浦町)黒地くろじ(現那賀川町)など那賀川・立江川下流域に比定する。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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