万葉集註釈(読み)マンヨウシュウチュウシャク

デジタル大辞泉 「万葉集註釈」の意味・読み・例文・類語

まんようしゅうちゅうしゃく〔マンエフシフチユウシヤク〕【万葉集註釈】

鎌倉中期の万葉集注釈書。10巻。仙覚著。文永6年(1269)成立万葉集の本格的な注釈書として最初のもの。仙覚抄万葉集抄

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精選版 日本国語大辞典 「万葉集註釈」の意味・読み・例文・類語

まんようしゅうちゅうしゃくマンエフシフチュウシャク【万葉集註釈】

  1. 鎌倉中期の、「万葉集」の注釈書。一〇巻。仙覚著。文永六年(一二六九)成立。全巻の難解な歌について精細に注解し、書名意義撰定撰者などに関して論理的文献的に研究している。すぐれた万葉注釈書の最初のもので、現在散逸した風土記を引用しているため風土記資料ともなっている。仙覚抄。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「万葉集註釈」の解説

万葉集註釈
まんようしゅうちゅうしゃく

「仙覚(せんがく)抄」とも。「万葉集」の本格的注釈として最初のもの。10巻。仙覚著。1269年(文永6)武蔵国で成立。防人歌などもとりあげている。「万葉」の意味を「よろづのことのは」ととらえ,その成立を聖武天皇の時代,撰者は橘諸兄(もろえ)・大伴家持(やかもち)とする。以下巻順に難解歌を抄出し「風土記」逸文なども引用して注釈を加える。「万葉集叢書」所収

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「万葉集註釈」の意味・わかりやすい解説

万葉集註釈
まんようしゅうちゅうしゃく

『仙覚抄』ともいう。仙覚著。 20巻。文永6 (1269) 年完成。仙覚はつとに万葉集研究校訂に没頭,十数本を校訂して1本にし,無点歌などに新点を加え,その集大成としてこれを完成,その後の万葉学に大きい影響を与えた。このなかには,今日逸書になっているような書物が引用されていて貴重である。

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世界大百科事典(旧版)内の万葉集註釈の言及

【仙覚】より

…(2)1246年はまた従来無訓のままであった152首の歌に新点を加えた年でもあるが,その後も改訓に努め,文永本はそれらを集大成している。(3)1269年に《万葉集註釈》(《仙覚抄》)を著し,《万葉集》の名義や成立を論じるとともに,811首の歌について注釈を加えた。彼の学風は合理優先,独断を極力避ける科学的態度を貫いているといってよい。…

【万葉集】より

…《万葉集》は,口承段階から文字使用の定着へという文明初期の歴史的条件を背負いつつ,日本における文学の誕生を記念し,かつ後世に向かって開かれた大きな文化の水源をなすものといえよう。
[研究史,影響]
 《万葉集》の解読作業は平安初期よりはじまり,鎌倉期の仙覚《万葉集註釈》(1269)においていちおうの集約が行われたが,研究として本格化するのは近世期の国学の勃興に伴ってである。契沖《万葉代匠記》(1690)をはじめ,賀茂真淵《万葉考》(1768),加藤千蔭(ちかげ)《万葉集略解(りやくげ)》(1800),岸本由豆流(ゆずる)《万葉集考証》(1828),鹿持雅澄(かもちまさずみ)《万葉集古義》(1844ころ)など多くの注釈書が著された。…

※「万葉集註釈」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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