唐物数奇(読み)からものすき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「唐物数奇」の意味・わかりやすい解説

唐物数奇
からものすき

鎌倉~室町時代の舶来品愛好者たちをいう。唐物 (からもの。とうぶつと読むのは江戸時代以後) は,元来は中国 (唐) からもたらされた品物のことであったが,後には中国以外の国からの輸入品も含めた舶来品の総称となった。ことに,中国崇拝政策をとり,明 (みん) の使節を明人の扮装 (ふんそう) で案内するなど日明貿易に力を入れた足利義満の治世下は,中国ブームの一つのピークで,絵画,磁器漆器などの美術工芸品が珍重され,上流階層の唐物数奇熱をあおった。これら唐物の目利きを職掌とする唐物奉行も置かれるようになった。唐物崇拝の結実が東山御物である。東山御物 (主に茶器) は室町末期からの茶の湯の発展に資しただけでなく,賞玩の対象として実際に飾られ,床の間など室内装飾の場も生んだ。

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