…室町幕府はさらに中国との交渉を深めたが,この段階では宗教よりも,絵画,磁器,漆器などの美術品に関心が移り,唐物は,これら美術工芸品を指す用語となった。室町幕府には,この鑑識を担当する唐物奉行の職制がおかれた。この職域にあった同朋衆の能阿弥・相阿弥による《君台観左右帳記》は,上巻は中国画家の等級分けなどの精査,下巻では,唐・宋・元の書院内部での唐物の装飾法を述べる。…
…将軍家の保護を得た五山にかわり,林下の大徳寺が社会各層の帰依を得て隆盛に向かうのも,応仁・文明の乱前後からで,《狂雲集》を著した一休は,後世にも大きな影響を及ぼした。 さて武家社会では,将軍家を中心に,諸分野にわたる芸能者がこれに近侍奉仕したのが特徴で,猿楽の音阿弥や作庭の善阿弥・小四郎・又四郎3代,同朋衆では唐物奉行に当たった能阿弥・芸阿弥・相阿弥代,香,茶の千阿弥,立花(たてはな)の立阿弥などの名が知られる。このうち同朋衆は,義持,義教を経て義政の時代に最も活躍するが,とくに唐物同朋は将軍家による唐物収集を担当し,目利(めきき),保管,表装あるいは唐物唐絵をもってする座敷飾に当たった。…
※「唐物奉行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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