日本大百科全書(ニッポニカ) 「営業税反対運動」の意味・わかりやすい解説
営業税反対運動
えいぎょうぜいはんたいうんどう
国税営業税の廃止ないし軽減を要求して、日清(にっしん)戦争後から第一次世界大戦後まで継起した商工業者の運動。1896年(明治29)日清戦後経営のための増税政策の一環として、商工業一般を課税対象とする営業税法が制定されたが、課税方法が資本金額、売上金額、従業者数などを標準として、実際の収益に照応しなかったため、制定当初から納税者の強い不満を招いた。商業会議所連合会は再三にわたって同法の改正さらに撤廃を要求し、賦課が始まった97年夏には税務当局と納税者との紛争が全国的に発生した。日露戦争期の増税を経て、1914年(大正3)1月憲政擁護会が営業税ほかの悪税廃止を決議し、2月にかけ同業組合を中心とする廃税運動が全国的に展開され、政局の焦点となった。運動は第一次大戦後に再開され、とくに22年には実業組合連合会による運動が盛り上がり、26年営業税法廃止に至った。
[江口圭一]
『江口圭一著『都市小ブルジョア運動史の研究』(1976・未来社)』