噛合(読み)かみあわせる

精選版 日本国語大辞典 「噛合」の意味・読み・例文・類語

かみ‐あわ・せる ‥あはせる【噛合】

〘他サ下一〙 かみあは・す 〘他サ下二〙
① けものなどにかみ合いをさせる。また、転じて、双方のものを激しく争わせる。
小学読本(1873)〈田中義廉〉二「犬を噛み合せ、棒を打振りて、危き遊びのみをなせり」
上下の歯や二つ歯車などをきっちり合わせて働かせる。
※詠百寮和歌(1504‐54頃)「かみあはせ作り出だせる一夜酒 口のうちにてわきかへりつつ」
考え方論点調和をとって議論を進行させる。
人間と真実の問題(1938)〈窪川鶴次郎〉三「駿介の真生活への出発志村見解と噛み合わせることによって」

かみ‐あ・う ‥あふ【噛合】

〘自ワ五(ハ四)〙
① けものなどが食いつき合って戦う。また、転じて、互いに激しく争う。けんかする。
太平記(14C後)五「庭前に犬共集まりて、噛み合ひけるを見て」
② 上下の歯や二つの歯車などがぴったり合わさって働く。
※童謡・鉄工場(1927)〈北原白秋〉「歯ぐるまがまわるよ、噛み合ひ噛み合ひまわるよ」
物事、考え方、論点の調和がうまくとれて、事態や議論が進行する。
※砂の女(1962)〈安部公房一四「そんな噛み合わないやりとりにも、一向に気を悪くした様子はなく」

かみ‐あわせ ‥あはせ【噛合】

〘名〙
① 上下の歯や二つの歯車などの、互いにかみ合う部分。また、その状態咬合(こうごう)
② 比喩的に、二つの物事が緊密に関係し合う働きをいう。
※ストマイつんぼ(1956)〈大原富枝〉「それらは相手の気質と自分の気質との微妙な噛み合わせによって変化してゆくもので」

かみ‐あい ‥あひ【噛合】

〘名〙
① けものなどがかみ合うこと。また、転じて、双方が激しく争うこと。けんか。
※翁問答(1650)下「喧𠵅のはたらきけなげなりとも、かみあひのつよき犬にことならず」
② 歯や歯車などがぴたりとかみ合うこと。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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