日本大百科全書(ニッポニカ) 「噴石シェルター」の意味・わかりやすい解説
噴石シェルター
ふんせきしぇるたー
火山噴火による噴石から身を守るための待避壕(ごう)。火山シェルターともいう。消防庁による定義では、鉄筋コンクリートや鉄筋鉄骨コンクリートでつくられた、噴石などから生命および身体の安全を確保できるものとされる。活火山の浅間山(あさまやま)の山頂付近には、登山道沿いに鋼板やコンクリートでつくられたシェルターが点在しており、その多くは、天井部がトンネルのような半円形をした筒型の構造物である。2014年(平成26)12月時点で、気象庁が24時間観測している全国47か所の活火山のうち、シェルターが設置されているのは、阿蘇(あそ)山や浅間山などの12火山にとどまっている。
2014年9月の御嶽(おんたけ)山噴火では、死亡した登山者のほとんどが、噴石の直撃による損傷死であった。そのため、噴石シェルターの設置が、活火山を有する自治体で検討されている。しかし、自動車が入れない場所への資材の空輸や建設予算の問題、対象の山は国立公園の特別保護地区などで厳しい制限のある場所が多いことなど、設置に向けた課題は山積している。
[編集部]