改訂新版 世界大百科事典 「四智梵語讃」の意味・わかりやすい解説
四智梵語讃 (しちぼんごさん)
声明曲(しようみようきよく)の曲名。単に《四智梵語》とも《四智讃》とも称する。仏の四智(大円鏡智,平等性智,妙観察智,成所作智)をたたえる讃。すべての梵語讃,漢語讃を通じてもっとも一般的な声明曲で,多くの宗派で用いるが,曲節は宗派によって異なり,同じ宗派に2種の曲節の曲があることもある。詞章の読み方も,〈オンバサラサタンバ……〉(天台),〈オンバンザラサトバ……〉(真言)など宗派で違う。用途もさまざまで,道場外に列立する時の列讃,道場進入時の行道讃(ぎようどうさん),供物進献の奠供讃(てんぐさん),法要主部に先立つ前讃,後置する後讃などに用いる。この曲は,仏菩薩すべてを対象とする総讃と解されているが,真言系諸宗では,とくに金剛界の大日如来に対する讃と解することもある。同内容の漢語讃に,《四智漢語讃》がある。
執筆者:横道 万里雄
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