道場(読み)ドウジョウ

デジタル大辞泉 「道場」の意味・読み・例文・類語

どう‐じょう〔ダウヂヤウ〕【道場】

武芸修練を行う場所。また、広く心身鍛錬などを行う場所。「剣道道場」「断食道場
《〈梵〉bodhi-maṇḍa の訳「菩提ぼだい道場」の略》
釈迦しゃかが悟りを開いた菩提樹下の場所。
㋑仏道修行の場所。
浄土真宗・時宗の寺院
信徒が集まって念仏を唱える集会所。

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精選版 日本国語大辞典 「道場」の意味・読み・例文・類語

どう‐じょうダウヂャウ【道場】

  1. 〘 名詞 〙 ( [梵語] bodhimaṇḍa の訳語 )
  2. 仏がさとりを開いた場所。菩提樹下の金剛座をいう。
  3. 発心(ほっしん)・深心(じんしん)など、さとりを開くもととなる心や布施などの修行をいう。〔法句経〕
  4. 仏道修行の場所。仏をまつり仏の教えを説く所。寺。寺院。また、寺院としての格を持たない小さな建物や、臨時にしつらえられた法会、法事のための場所などをもいう。
    1. [初出の実例]「凡僧尼非寺院。別立道場。聚衆教化。〈略〉者。皆還俗」(出典:令義解(718)僧尼)
    2. [その他の文献]〔白居易‐斎戒満夜戯招夢得詩〕
  5. 浄土真宗や時宗で、念仏の集まりを行なう場。簡略なものから、寺院までをいった。
    1. [初出の実例]「道場と号して簷(のき)をならべ墻をへだてたるところにて、各別各別に会場をしむる事」(出典:改邪鈔(1337頃))
  6. 特に近世、仏像を安置してあるだけで、寺格もなく住僧も定まらない寺。
    1. [初出の実例]「去田舎に、一村みな一向宗にて、道場(ダウデウ)へまいりて御讚歎を聴聞いたし」(出典:咄本・軽口露がはなし(1691)二)
  7. 弟子が集まり師について武芸を学び、練習する所。
    1. [初出の実例]「妻子引具し旧冬より、上本町の道場の玄関構へ借座敷」(出典:浄瑠璃・夕霧阿波鳴渡(1712頃)中)
  8. 多くの人々が集まり、団体生活をして精神修養・技術の練成などに励む場所。

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改訂新版 世界大百科事典 「道場」の意味・わかりやすい解説

道場 (どうじょう)

釈迦が悟りを開いた場所,つまり中インドのブッダガヤーにある菩提樹の下の金剛座の漢訳語。サンスクリットのbodhi-maṇḍalaなどに当たる。したがって道場樹は悟りを開く場所にある菩提樹を指す。そこから中国では,仏道を修行する場所をひろく道場というようになり,とくに隋の煬帝(ようだい)は613年(大業9)に詔して全国の寺を改めて道場とよばせた。日本では七堂伽藍を完備していない小寺院や祠堂を道場とよぶことが多かった。
執筆者: 日本においては,〈僧尼令〉に,〈凡(およ)そ僧尼,寺の院に在るに非ずして,別(こと)に道場を立てて,衆を聚(あつ)めて教化し〉とあり,寺院とは別の建物を指していたが,その後,寺院の簡略なもの,とくに私宅を捨てて寺となしたものを道場と称するようになった。臨済宗では,雲水の修行場所を道場と称したが,真宗では,信徒が集まって念仏を唱える所を道場と称した。その形態は〈少し人屋と差別あらせて小棟を揚げて造〉る建物であった。道場を拠点にして発展した真宗では,その後,毛坊道場,辻本道場,惣道場,立会道場等さまざまな形の道場が生まれた。
執筆者: 仏事法要を行う場としての道場には,本堂,講堂,塔などの堂塔を用いるほかに,書院,庫裏(くり)等の居住部分を用いる例も少なくない。法要は目に見えない仏・菩薩等の諸尊を迎えて行うものなので,その堂塔に日常安置してある本尊と,行われる法要の主尊とは,必ずしも一致しない。薬師堂で大日如来主尊の曼陀羅供(まんだらく)を行うとか,観音堂で不動明王主尊の不動護摩を勤めるとかいう例も多い。法楽ほうらく)のために鎮守社等の社殿を道場として法要を勤める例もあり,往時は,宮中や貴族の邸第の一部を道場として勤めることも多かった。なお,武道のけいこ場も道場とよばれる。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「道場」の意味・わかりやすい解説

道場
どうじょう

本来は、釈尊が悟りを開いた場所のこと。サンスクリット語でボーディ・マンダbodhi-maaまたはボーディ・マンダラbodhi-maalaといい、正確には、前者は釈尊が成道(じょうどう)したブッダガヤにある菩提樹(ぼだいじゅ)下の金剛(こんごう)座をさし、後者はその周りの区域をいう。また場所を問わず悟りを願う心のことを道場という場合もある。

 日本では一般に仏道を修行する場所や建物のことをいい、より広い意味に用いられる。さらに転じて武道などの修行をする場所をもさすようになった。

[松本史朗]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「道場」の解説

道場
どうじょう

元来は仏道修行の区域・場所をいうが,浄土真宗では寺院には至らない念仏のための集まりの場所という意味で用いる。親鸞の曾孫覚如の「改邪鈔」に,道場は「行者集会のため」のもので,一つの「道場に来集せんたくひ遠近ことな」るとあり,広い範囲の人々が道場を中心に結束していたが,集会の便のために各所に派出道場が構えられた。それらには,ある寺院の下に属する下道場,俗人が主催する毛坊主(けぼうず)道場,住居の一部をあてた家道場などがあった。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「道場」の解説

道場 どうじょう

?-? 飛鳥(あすか)時代の僧。
「日本霊異記(りょういき)」によると,尾張(おわり)(愛知県)の人で,敏達(びだつ)天皇(在位572-585)のころ雷の予言で生まれる。十余歳で超人的な怪力の持ち主になり,鬼を退治するなどの不思議をおこなった。のち出家して大和(奈良県)元興(がんごう)寺の僧となったという。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「道場」の意味・わかりやすい解説

道場
どうじょう

(1) 仏が悟りを開いた場所をいい,歴史的には釈尊が成道した古代インドのマガダ国のナイランジャナー川 (尼連禅河) のほとりの菩提樹下の金剛座をいう。 (2) 仏を供養する場所。 (3) 悟りを開くためのよりどころとなる決意,修行などをいう。 (4) 寺院の別名。 (5) 武芸の練習所。

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普及版 字通 「道場」の読み・字形・画数・意味

【道場】どうじよう

修行所。

字通「道」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の道場の言及

【曼荼羅】より

…本質を得るとは,仏の無上正等覚という最高の悟りを得ることであり,この真理を表現したのが曼荼羅であるとし,これは円輪のように過不足なく充実した境地であるため,円輪具足とも訳される。曼荼羅はまた悟りを得た場所,さらには道場を意味し,道場には壇を設けて如来や菩薩が集まるところから,壇や集合の意味を生ずる。そこから壇上に仏菩薩の像を集めて安置し,ひいては集合像を描いたものを曼荼羅と称するようになる。…

※「道場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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