日本大百科全書(ニッポニカ) 「囲碁電王戦」の意味・わかりやすい解説
囲碁電王戦
いごでんおうせん
人間とコンピュータ囲碁ソフトが対局する棋戦。2014年(平成26)2月に第1回大会が日本棋院で開かれ、プロ棋士2名とアマチュア有段者2名がコンピュータ囲碁ソフトZen(ゼン)と2日間にわたって対戦した。Zenはコンピュータ囲碁大会の2012年チャンピオンで、世界トップクラスの囲碁ソフトとして知られた。対戦ルールは、プロ棋士は九路盤、アマチュアは十三路盤と十九路盤で、日本で通常行われている棋戦と同様に、互先(たがいせん)でコミ出し6目半というルールが採用された。棋士の持ち時間は、九路盤の対局では各20分で、持ち時間終了後は一手30秒の秒読みとなる(十三路盤では持ち時間30分、30秒の秒読み、十九路盤では持ち時間60分、60秒の秒読み)。コンピュータソフト側は、対局会場とZen開発者の自宅のコンピュータをネットワーク接続して使用され、勝敗は、Zenの1勝6敗であった。
将棋電王戦の主催者であるIT関連企業のドワンゴがその囲碁版として大会を企画した。将棋電王戦と同様に、対局の模様はインターネットで生中継された。2016年の第2回大会から十九路盤の互先となり、日本のプロ棋士に1勝2敗、2018年の囲碁電王戦FINALで中国・韓国・日本のプロ棋士に2勝1敗と勝ち越し、Zen開発プロジェクトは終了した。また、2013年から電気通信大学主催の囲碁電聖戦が行われ、プロ棋士とコンピュータ囲碁ソフトの公式定期戦が実現したが、コンピュータ囲碁ソフトが人間に勝るようになり2017年の第5回大会で終了した。
[編集部]