日本大百科全書(ニッポニカ) 「国有林野事業特別会計」の意味・わかりやすい解説
国有林野事業特別会計
こくゆうりんやじぎょうとくべつかいけい
日本の国土の約2割を占める国有林の経営が、木材価格の低迷や伐採量の減少で1975年に赤字に転落。国有林野事業特別会計は人件費などを賄うため財政投融資から安易に借金を重ねたが、年8%以上の長期固定金利のものもあり、債務の利払い・償還金が、木材販売や林野・土地売却などによる自己収入を大きく上回るという“危機的状況”が続いている。このため政府は98年10月、「国有林野事業改革特別措置法」を成立させた。これにより、同特別会計の累積債務約3.8兆円のうち約2.8兆円を一般会計が肩代わりし、残り約1兆円は一般会計からの利子補給をうけて50年で返済する枠組みができた。しかし輸入木材の価格続落、人員削減計画の難航が予想され、楽観できない状況にある。
[三条 彰]