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国有林 こくゆうりん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

国有林
こくゆうりん

国有の森林・原野。日本では明治維新の際に旧幕府領,旧藩領の所有権奉還と社寺領森林の上地によって成立。 1886年林区署制が定められて大林区署,小林区署がおかれたが管理経営に着手されるにいたらず,99~1921年の国有林野特別経営事業をまって初めて本格的な整備,経営改善がなされて基礎が固められ,24年林区署制に代って営林局営林署が設置された。以後国有林の管理・経営は営林局と営林署によって行われてきたが,甚大な累積債務を抱えるにいたり,99年国有林野事業の抜本的な改革がなされ,営林局および営林支局は森林管理局に,営林署は森林管理署,支署,ならびに森林管理事務所に統廃合された。国有林面積は約 780万 haで全林野面積の約3割を占めており,ごく一部のもの (国立大学演習林など) を除いて農林水産省の管理下にある。国有林の生産する林材の国産材総供給に占める割合は 31%で,林産物の計画的,安定的供給に重要な役割を果しており,一方で国土保全,自然保護,レクリエーションの場の提供などの機能を有している。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

国有林

林野庁が管理経営している森林。約760万ヘクタールあり、日本の国土の約2割を占める。戦後、農林省所管の国有林、内務省所管の北海道国有林、宮内省所管の御料林が統一され、特別会計での企業的運営がされてきた。「国土・環境の保全」「水源涵養(かんよう)」「林産物の持続的かつ計画的な供給」「地域の産業振興」などが使命とされている。

(2009-08-11 朝日新聞 朝刊 長野東北信 1地方)

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百科事典マイペディアの解説

国有林【こくゆうりん】

国が所有する森林・原野。民有林公有林に対する。明治維新後の官民有地区分事業で生じた官林は,やがて御料林と農商務省および北海道庁所轄の国有林に分かれたが,戦後は大部分が農林省所管とされ,国有林野事業特別会計の下で林野庁が一元管理している。
→関連項目御林国有林野事業森林

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林業関連用語の解説

国有林

林野庁所管及び林野庁以外の官庁が所管する国有林野をいう。

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世界大百科事典 第2版の解説

こくゆうりん【国有林】

国が所有する森林・原野をいう。日本の全森林面積の約3割に当たる750万haに及ぶが,大部分は農林水産省林野庁が所管する。残余は文部省,大蔵省などが管理する。林野庁管理の国有林は全国にまたがり,7森林管理局,98森林管理署,14森林管理支署に分かれて管理・経営されている(1999)。
[成立]
 国有林の呼称が使われはじめたのは1899年の国有林野法制定以降で,それまでは官林と呼ばれていた。官林の前身は近世幕藩の直轄林と村持入会林野のうち,〈官民有区分事業〉の結果官有となった山林である。

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大辞林 第三版の解説

こくゆうりん【国有林】

国の所有する森林。分収林の契約対象となっている国有林野も含む。 ↔ 民有林

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

国有林
こくゆうりん

国が所有する森林の総称。その主要部分は農林水産省林野庁の所管に属し、林業経営、国土保全、森林生態系の維持などを目的として各種の事業が行われている。
 2011年(平成23)の時点で林野庁所管国有林面積は約758万ヘクタールであり、国土面積の約2割、森林面積の約3割を占めている。北海道や東北、北関東、南九州等で国有林の比率が高いなど地域性を有するものの、国有林の多くは奥地脊梁(せきりょう)山地や水源地域を中心に分布し、世界自然遺産に登録された屋久島(やくしま)、白神(しらかみ)山地、知床(しれとこ)の原生的な天然生林も国有林である。保安林面積の約5割、国立公園の約6割が国有林である。
 また、林野庁所管国有林は、2010年度において、約205万立方メートルの木材を生産するとともに、植林約7000ヘクタール、手入れとして必要な間伐約14万ヘクタールなど、日本最大の林業事業体である。国有林の管理運営は、林野庁国有林野部と地方に配置された7の森林管理局と98の森林管理署が担当している。
 なお、林野庁以外の省庁が所管する国有林面積は2011年段階において約6万ヘクタールである。[飯田 繁・佐藤宣子]

沿革

今日の国有林は、幕藩有林と地租改正、土地官民有区分によって国有化された森林・原野を基礎にしている。官民有区分では、地元集落が過去の林野利用が証明できない場合には民有とは認められなかった。また国民の所有権意識が低く、地域によっては住民側が租税回避策をとったため、入会(いりあい)山が大量に国有化された。しかし、国の管理が強化されるにつれ、地元住民の不満や抵抗が増大した。とくに1886年(明治19)にプロシアの林業制度を導入して大小林区署制が敷かれ、国有林の事業的経営が発足すると、全国的規模の官有地下げ戻し運動に発展した。国は、1899年に国有土地森林原野下戻(さげもどし)法を制定し、205万ヘクタールの下げ戻し要求のうち約2割を最終的に認めることによって国有林の地籍を確定した。そして同年国有林野法を制定し、本格的な国有林経営を開始した。第二次世界大戦前の国有林は、本州、四国、九州は農林省、北海道は内務省、樺太(からふと)、朝鮮、台湾は拓務省の林業担当部署が所管した。その経営は、共用林野等を利用する地元住民をなかば義務的に安い賃金で雇用し、展開したところに特徴があった。
 第二次世界大戦後の1947年(昭和22)、北海道国有林、御料林(1888年、優良な国有林を皇室財産とすることにより成立。約132万ヘクタール)、都府県所在国有林が統一され、現在の国有林が形成された。
 1960年代には、増大する木材需要に対処するため、大面積にわたる伐採や亜高山地帯の開発が進められ、森林の再生を困難にするとともに労働災害(チェーンソーによる振動病)を発生させた。これらは社会的な批判を受け、1973年から国土保全や自然保護などに留意した経営が行われたが、資源が枯渇するとともに貿易の自由化、変動相場制への移行、円高によって木材価格が長期に下落し、1975年以降は恒常的な赤字を計上するようになった。1980~1990年代は、この赤字体質から脱出するために不採算な森林経営からの撤退、組織の統廃合、職員の大幅削減を推進した。そして、1998年に2兆8000億円の累積債務を国鉄債務と抱き合わせで一般会計の負担とし、また、国有林野事業特別会計の仕組みや経営目的を大幅に変更するという抜本的な改革が行われた。具体的には一般会計から資金を繰り入れつつ、人工林の長伐期化や複層林化、広葉樹林化など、公益的機能に重点をおいた森林管理が目ざされた。また、抜本改革後、森林を三つに区分して管理するという施策が開始された。2011年(平成23)の時点で三つの機能区分とその面積は下記のとおりである。
(1)水土保全林 国土保全や水源の涵養(かんよう)を通じて安全で快適な国民生活を確保することを重視する森林、515万ヘクタール(68%)。
(2)森林と人との共生林 貴重な自然環境の保全や国民と森林とのふれあいの場を提供することを重視する森林、216万ヘクタール(28%)。
(3)資源の循環利用林 公益的機能の発揮に配慮しつつ、効率的に木材等の林産物の生産を行う森林、27クタール(4%)。
 このように、抜本改革後、国有林管理は木材生産から環境重視、公益的機能の発揮に重点がおかれると同時に、14の営林局は7の森林管理局へ、229の営林署は98の森林管理署へと組織の統廃合がなされ、国有林野事業の職員数は1997年(平成9)の1万5000人から2010年(平成22)時点の6000人まで縮小された。
 しかし、2000年代後半になって、国際的な木材需給が逼迫(ひっぱく)するなかで、森林管理局と製材工場や合板工場が価格や量について協定を結び、安定的に木材供給を行うシステム販売方式が導入されるなど、国有林の木材生産の役割が重視されるようになった。とくに、2009年の民主党への政権交代は、森林・林業の再生を新成長戦略の一つに位置づけたため、国有林の管理運営方針を見直すことが必要となった。政府に基本政策を答申する林政審議会は2011年に、国有林部会を設置し、国有林の管理経営のあり方を集中的に論議した。その結果、同年12月、国有林は公益重視の管理運営を推進すると同時に、森林・林業の再生への貢献のために、低コスト林業技術の開発普及、民間事業体の人材育成や事業体の育成、木材の安定供給体制の構築、民有林と一体とした共同施業団地の設定等が求められること、さらに国有林野特別会計を廃止して、事業・組織の一般会計化すべきとの答申が林政審議会から政府に提出された。その後、2012年6月21日に衆議院本会議で「国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るための国有林野の管理運営に関する法律等の一部を改正する等の法律」が可決・成立し(2013年4月1日施行)、1947年(昭和22)の林政統一とともに発足した国有林野事業特別会計は同年度限りで廃止することが決定し、新たな国有林時代を迎えることとなった。[飯田 繁・佐藤宣子]
『秋山智英著『国有林経営史論』(1960・日本林業調査会) ▽飯田繁著『国有林の過去・現在・未来』(1992・筑波書房) ▽笠原義人・塩谷弘康・香田徹也著『どうする国有林』(2008・リベルタ出版) ▽林野庁編『森林・林業白書』各年版(農林統計協会) ▽『国有林野の管理経営に関する基本計画の実施状況』各年版(林野庁)』

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世界大百科事典内の国有林の言及

【御林】より

…また幕府に常備された御林台帳は普通に御林帳といい,諸国御林帳,御林個所付帳とも唱えたが,帳面には御林の所在(郷村名),面積をはじめ,樹種・幹周り別の木数,林相・地利,伐木・植樹年次,江戸または市場・港津までの輸送距離までが明細に調記され,所管代官の交替や知行割渡しの際には,御林帳抜差,御普請木伐渡,枯木・根返り,払減木などの添帳によって加除訂正を加え,御林の現況を明らかにして授受されるものであった。この御林帳には別冊の御林絵図が付属し,類似の御林帳や絵図は私藩でも作成されたが,帳簿の名称や記載内容には繁簡異同の差があったのに対し,廃藩置県後の1872年(明治5),新政府が各府県に録上させた統一的な御林帳は,幕府のそれに準じて管内の官林(旧御林)の現況を報告させたもので,これによって現国有林の原形が形成された。【所 三男】。…

【地主】より

…また1889‐90年に皇室財産の中核として形成された御料林は,本州中央部の優良官林とその他の官有山林原野から編入したものである。1909年の林野構成の大要は御料林155万ha,国有林万ha,民有林万haであった。 国有林野の設定とその経営は,農民の採草,落葉採取,放牧,採薪などの入会利用と対抗関係にあった。…

【私有林】より

…私有の森林のことで,国有林公有林以外のものの総称。私有林と公有林を合わせて民有林という。…

【民有林】より

国有林以外の森林をいう。日本の森林面積約2500万haのうち約1730万haを占めている。…

【林業経営】より

…日本の森林は経営形態別に国有林公有林私有林に分けられる(公有林と私有林を合わせて民有林という)。国有林は森林総面積の3割に達する。…

※「国有林」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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