日本大百科全書(ニッポニカ) 「国立史料館」の意味・わかりやすい解説
国立史料館
こくりつしりょうかん
日本の近世以降の史料の調査研究、収集、整理、保存を行い、利用に供することを目的として設立された機関。第二次世界大戦後の変動は旧家の古文書・記録類の散逸の危機をもたらし、その保存のため1947年(昭和22)文部省(現、文部科学省)が収集を開始、翌年から近世庶民史料調査委員会の全国的調査が行われ、研究者の国会請願もあり、1951年に文部省史料館が東京都品川区に設立された。1972年、新設の国文学研究資料館の組織に組み入れられ、国立史料館と通称された。マイクロフィルムによる史料収集を継続し、情報センターの機能をもち、史料学的研究、近世史料取扱講習会など事業の成果を、所蔵史料目録、史料館叢書(そうしょ)、研究紀要などとして出版した。2001年(平成13)3月末時点の所蔵史料は庶民史料を中心に約50万点、民俗資料5000点であった。
[大野瑞男 2018年5月21日]
2004年4月、国文学研究資料館が大学共同利用機関法人人間文化研究機構傘下となったことに伴い組織が改組され、史料館は廃止となった。
[編集部 2018年5月21日]
『国文学研究資料館史料館編『史料の整理と管理』(1988・岩波書店)』