国費留学(読み)こくひりゅうがく

大学事典 「国費留学」の解説

国費留学
こくひりゅうがく

国費により,国民か外国人が国外の大学で学修し,通常は学位を取得する制度。国費留学は,とくに国民国家の発展段階によって異なった意味合いを持つ。欧米の知の移入を不可欠視した明治政府は,官制留学制度を導入して,派遣留学生に国家の期待を背負わせ,その成果を官立大学に還元させた。今や先進国の日本では,国費で他の先進国・途上国から留学生を招き,知と技術を転移することが国費留学の意味である。2015年現在,9200人の国費留学生(日本政府支弁),3700人の各国政府からの派遣(国費)学生(各国政府支弁)が日本の大学に在籍する。日本は今でも,年に各府省の職員や国立大学教員2000人以上を国費で海外へ長期派遣するが,かつてのような悲壮な使命感は過去のものとなった。国費留学はこれまで私費留学と対比されてきたが,授業料の高額な今日の英米の大学は,大学が授業料を免除し多額の生活費を支給する奨学生に対し,大学にとって大きな収入源となる国費留学生と私費留学生を同じ側に分類する傾向がある。
著者: 立川明

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

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