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国民国家 コクミンコッカ

デジタル大辞泉の解説

こくみん‐こっか〔‐コクカ〕【国民国家】

民族国家
国民を主体としてつくられた国家市民社会を基盤としてつくられた国家。

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百科事典マイペディアの解説

国民国家【こくみんこっか】

英語nation-stateの訳語。国家への忠誠心を共通アイデンティティとしていると想定される人々を〈国民〉として持つ領域国家を指す。フランス,英国など西欧近代の生みだした概念で,そこではnation(民族,国民)は単一民族ないし同質的集団と暗黙に前提されており,そのうえで国民主権権力分立などの理念・制度が成立し,国旗国歌などの国民統合のシンボルも創造された。
→関連項目国家少数民族天皇民族ヨーロッパ

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世界大百科事典 第2版の解説

こくみんこっか【国民国家 nation state】

共通の社会・経済・政治生活を営み,共通の言語・文化・伝統をもつ,歴史的に形成された共同体を基礎として成立した国家を一般に指す。この意味で民族国家とほぼ同意に用いられる。また,多元的分裂状態を克服して成立した統一的な絶対主義国家を含めて国民国家という場合もあるが,絶対君主に集中されていた権力・主権を,市民革命によって奪取した結果形成された国家を指し,その意味で近代国家といわれる。したがって近代国家という観念は,ふつう封建国家や絶対主義国家などに対置して用いられる。

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大辞林 第三版の解説

こくみんこっか【国民国家】

国民的同一性を基礎として成立した近代的中央集権国家。近代国家。民族国家。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

国民国家
こくみんこっか

民族国家」のページをご覧ください。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

国民国家
こくみんこっか
nation-state英語
tat-nationフランス語

確定した領土をもち国民を主権者とする国家体制およびその概念。17世紀のイギリス市民革命、18世紀のフランス革命にみられるように、絶対王制に対する批判として君主に代わって国民が主権者の位置につくことにより形成された近代国家、あるいはその近代国家をモデルとして形成された国家を指す。近代の国家システムのなかで、国民は主権者としてのさまざまな権利を有すると同時に、納税、兵役、教育の義務を担うことになる。また国民国家の形成過程において、国民は、国歌の斉唱や国旗への敬礼、言語の標準化等の統制を通して、国家の一員としての帰属意識(国民的アイデンティティ)を形成していく。
 国民国家は、国民の同質性を前提として統合された。国民という均質で固定された主体性の構築は、他方で雑種的でしかありえない言語や文化、またそこから逸脱する少数者に対して抑圧的、排他的な現実をつくり出した。その結果国民国家に潜在化していた矛盾や隠蔽してきた諸問題が露呈していくことになる。とりわけ、第二次世界大戦以降の旧植民地国の独立、またその後の冷戦体制の崩壊による急速なグローバル化のなかで、国民国家の批判的な問い直しが行われている。社会科学や文化研究の領域では、どのような文化・政治的装置によって国民という均質的な「想像の共同体」が現れたのか、国民は歴史的な構築物であるにもかかわらず、なぜ言語や民族によって一定の過去、伝統、文化を保持するものとして自明視されたのか、なぜ国民の形成が人種主義や性差別、外国人恐怖、階級といった社会的な差別構造を伴うのかといった事柄を分析する作業が進められている。
 1983年には、こうした国民国家論の嚆矢となる、ベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体』Imagined Communityが登場した。同書は、近代社会への移行期に登場した世俗語革命による近代小説の成立と出版資本主義によるその流通が国家語の成立に寄与し、言語と出版文化の共有を通じて国民という集団的なアイデンティティが形成されていく社会編成と機制を提示した。同じく83年に出版された『民族とナショナリズム』Nation and Nationalismで、著者アーネスト・ゲルナーErnest Gellner(1925― )は、ナショナリズムを「政治的単位と民族的(文化的)単位の一致を求める一つの政治的原理」であると指摘し、「産業化」と、産業社会の要請に応える高度な「識字能力」の一般化、巨大なコストをかけた教育システムの整備を行えるのは国家しかないと、ナショナリズムの発生を説明した。国民国家を論じたものとしてはほかに、歴史的な観点からアプローチし、国民、国家、民族の実定的なイメージを象徴する伝統もまた近代国家形成期の産物にほかならないと指摘したエリック・ホブズボーム編著の『創られた伝統』The Invention of Tradition(1983)、人種、国民、階級の構成体と資本主義との機能的関連から「想像の共同体」としての民族の創出、国民の形成を論じたエティエンヌ・バリバール、イマニュエル・ウォーラーステインの共著『人種・国民・階級』Race, Nation, Classe(1988)などがある。
 しかし、「国民国家」の幻想性、実体のなさは、伝統や歴史への回帰を語る保守的な思想家、研究者の側も十分に認めるものとなっている。また、「国民国家」の問い直しにおいては、自由な移動が可能なコスモポリタンなエリートの形成、都市のインフラストラクチャーを支える移民たちによる国境を越えたネットワークの確立という点でのグローバル化だけではなく、国家間、都市間の競争に勝ち抜くために自らの歴史的、文化的固有性を強調する観光等の行政政策と併せて、複合的な視点からグローバル化をとらえ、相互に矛盾する効果を分節化していく作業も行われている。「国民国家」の幻想性、実体のなさが露呈され、グローバルな資本の動きが進行するなかで、国家はこれまでとは違った機能を担うことが求められている。[清水知子]
『エリック・ホブズボウム編著、前川啓治ほか訳『創られた伝統』(1992・紀伊國屋書店) ▽酒井直樹著『死産される日本語・日本人』(1996・新曜社) ▽酒井直樹ほか編『ナショナリティの脱構築』(1996・柏書房) ▽E・ルナンほか著、鵜飼哲ほか訳『国民とは何か』(1997・インスクリプト) ▽ベネディクト・アンダーソン著、白石さや・白石隆訳『想像の共同体』(1997・NTT出版) ▽エティエンヌ・バリバール、イマニュエル・ウォーラーステイン著、若森章照ほか訳『人種・国民・階級――揺らぐアイデンティティ』(1997・大村書店) ▽西川長夫著『国民国家論の射程』(1998・柏書房) ▽谷川稔著『国民国家とナショナリズム』(1999・山川出版社) ▽M・ヌスバウム編、辰巳伸知・能川元一訳『国を愛するということ――愛国主義(パトリオティズム)の限界をめぐる論争』(2000・人文書院) ▽アーネスト・ゲルナー著、加藤節監訳『民族とナショナリズム』(2000・岩波書店) ▽大澤真幸編『ナショナリズム論の名著50』(2002・平凡社) ▽西川長夫著『国境の越え方』 ▽花崎皋平著『アイデンティティと共生の哲学』(以上平凡社ライブラリー) ▽Tom Nairn The Breaking-up of Britain; Crisis and Neo-nationalism(1977, NLB, London)』

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世界大百科事典内の国民国家の言及

【エスニシティ】より


[適用範囲の拡張]
 エスニシティ概念の普及はその適用範囲を拡張した。とくに,1970年代以降ヨーロッパの研究者が利用しはじめると,エスニシティ概念は国民国家内の文化的下位集団全般,すなわち国民文化に完全に同化せずに生き残った文化集団にも適用された。つまり,対象は移民・難民のみならず,近代国民国家形成の際に国民国家の下位集団として位置づけられたマイノリティ(周辺民族集団や旧植民地の先住民)にも適用されたのである。…

【行政】より

…そこで,近代国家から現代国家にいたる発展史を絶対王政,立憲君主制,近代民主制,そして現代民主制の各時代に区分して,行政の生成と変容の過程を概観してみることにしよう。絶対王政時代は,国王と臣民の中間に介在していた封建的諸勢力を駆逐し,国民国家(nation‐state)を形成した時代である。この国民国家の統治構造は絶対君主を主権者とし,軍と官僚集団がこれを補佐する中央集権体制であった。…

【近代社会】より

…そのかぎりまた近代社会は西ヨーロッパの市民社会と重なりあい,そこではなによりも個人がさまざまな社会的束縛から解放され,自我に目覚めていくことになる。さらにこの近代社会は統一的な政治的国家と対をなし,国民国家の形成と歩みを共にすると同時に,立憲的民主主義をその政治的内容とするのである(立憲主義民主主義)。しかしとりわけ第三世界をふくむ現代世界においては,この近代社会の〈近代性〉がもつ〈負〉の役割もつよく意識されはじめている。…

【グローバリゼーション】より

…近代という時代は地球上のあらゆる人々を市場経済の中に巻き込み,地域固有の価値観や規範あるいは制度や権威を変形・解体して,ヨーロッパに形成された世界システムへの一元化をもたらしてきた(近代世界システム論)。このような近代世界の近似化は,国民国家による分割を通じて実現され,文化は国民文化として創り出され,経済は国民経済を単位として構成されてきた。社会科学や近代思想が論じてきた近代の普遍性とは,国民国家という単位に分断されながらも,地球全体が想像上の〈西洋〉へと均質化する傾向を前提としてきたのである。…

【国民】より

…国家を構成する個々人,あるいはその全体を指す。日本国憲法で〈日本国民たる要件は,法律でこれを定める〉とされているように,一方で国民は法律上の概念であるが,他方で国民主権や国民国家などの用法にみられるように,国民は主権や国家の基本的な性格を規定する政治上の概念でもある。政治上の概念としての国民は,すぐれて近代的な起源をもつ。…

【国家】より

…多くの近代国家において,憲法が制定され,権力分立制や地方分権制が制度化されているのも,国家権力の濫用あるいは恣意的な権力の行使を抑制しようとするものであるといえよう。
【国家の諸形態】
 われわれが今日国家と呼んでいるのは,近代国民国家のことである。歴史的にさかのぼれば,近代国民国家以前には古代国家や中世国家が存在していた。…

【サバルタン・スタディーズ】より

… 従属諸集団を国民史の本流にいかに取り込むかという課題は,サバルタン研究の場合,インド近代史について問われた。しかし,この課題は第2次世界大戦後の国民国家において共通して問題になったのである。国民国家は一定の核地域における〈想像の共同体〉の形成とともに発生し,均質な国民を創出しながら,しだいにその外延を拡張していった。…

【ヨーロッパ】より

…東ではいわゆるビザンティン帝国として,ローマの諸制度や国家形態がほとんどそのまま存続したのに反し,西では教会を介してカトリック的統一が維持されたものの,国家の形態は一変してゲルマン的な人的結合に重点を置く部族国家の分立状態となり,カール大帝による帝冠の復活も,いわばビザンティンとの関係でローマ教皇側から働きかけた理念的な形式の表れにすぎなかった。政治の現実はやがて封建国家の割拠に突入し,それ以来西ヨーロッパでは今に至るまで2度と世界帝国が実現しなかったわけで,近世における国民国家の根源は,すでにこの頃に定礎されていたのである。ただ西では,このようにローマ教皇庁と密接な関係をもつフランク王国が,名実ともに他の諸部族国家に優越した地位を得て,一応諸国家体制の秩序ができ上がり,これが東のビザンティン帝国と対比されるほどの姿を整えたところから,カールの戴冠をもって西ヨーロッパの政治的枠組みが成立した画期とみるのが定説である。…

※「国民国家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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