大学事典 「園芸学部」の解説
園芸学部
えんげいがくぶ
農学の中で,園芸学や造園学に特化した学部。2016年(平成28)現在,国立大学で唯一設置されている千葉大学園芸学部は園芸学科,応用生命化学科,緑地環境学科,食料資源経済学科の4学科を有するが,基本構成としては一般の農学部と大きな違いはない。相違点はその教育・研究の対象である。農業生産物の中でも果樹,野菜,花卉の園芸作物を対象としており,果実の色彩等の視覚的特性から関連の深い造園学を内包している。園芸作物は資本・労働集約による高付加価値生産が特色であり,主食である穀物生産と比べると生存のためのカロリーベースでの収量増よりは,社会・生活文化の変化に対応した生活の質全体の向上への貢献が主課題となる。この点を考慮すると,園芸学は狭量な土地で実施可能な都市農業,社会文化に即応した都市環境緑化と親和性が高い学問分野でもある。このため,都市部の大学には実質的には園芸分野に特化した農学部も存在する。
著者: 奥山洋一郎
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報