日本大百科全書(ニッポニカ) 「土曜の夜と日曜の朝」の意味・わかりやすい解説
土曜の夜と日曜の朝
どようのよるとにちようのあさ
Saturday Night and Sunday Morning
イギリスの作家アラン・シリトーの長編小説。1958年刊。ノッティンガムの若い旋盤工の退屈な一週のあとでの爆発的な週末生活を描いたもの。若者らしいエゴイズムと潔癖さで周囲の生活に反発し、年上の仲間の妻との姦通(かんつう)といった一見無責任な非行生活をしながら、その生活のなかから自分にふさわしい伴侶(はんりょ)を発見し、新しい生存の闘いのなかに入ってゆく。第二次世界大戦後のイギリスの若い労働者の生活が「非道徳的で無政府主義的」、そのくせひどく正直な青春という形でみごとに定着されている。現代労働者の青春をその内部から生き生きと描いた小説は、それまでのイギリス小説では希有(けう)で、簡潔な口語体が光る。
1960年には映画化もされた(監督カレル・ライス)。
[鈴木建三]
『永川玲二訳『土曜の夜と日曜の朝』(1968・河出書房新社)』