土曜の夜と日曜の朝(読み)どようのよるとにちようのあさ(その他表記)Saturday Night and Sunday Morning

日本大百科全書(ニッポニカ) 「土曜の夜と日曜の朝」の意味・わかりやすい解説

土曜の夜と日曜の朝
どようのよるとにちようのあさ
Saturday Night and Sunday Morning

イギリスの作家アラン・シリトー長編小説。1958年刊。ノッティンガムの若い旋盤工の退屈な一週のあとでの爆発的な週末生活を描いたもの。若者らしいエゴイズムと潔癖さで周囲の生活に反発し、年上の仲間の妻との姦通(かんつう)といった一見無責任な非行生活をしながら、その生活のなかから自分にふさわしい伴侶(はんりょ)を発見し、新しい生存の闘いのなかに入ってゆく。第二次世界大戦後のイギリスの若い労働者の生活が「非道徳的で無政府主義的」、そのくせひどく正直な青春という形でみごとに定着されている。現代労働者の青春をその内部から生き生きと描いた小説は、それまでのイギリス小説では希有(けう)で、簡潔な口語体が光る。

 1960年には映画化もされた(監督カレル・ライス)。

[鈴木建三]

『永川玲二訳『土曜の夜と日曜の朝』(1968・河出書房新社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の土曜の夜と日曜の朝の言及

【フリー・シネマ】より

…やがて彼らは長編劇映画の監督となるが,労働者階級の若者の日常に目を向けるドキュメンタリストとしての姿勢はそのままひきつがれて,演劇界における〈怒れる若者たち〉(アングリー・ヤング・メン)の世代の作家たちと結びついてイギリス映画の新しい波を形成した。リチャードソンが製作に当たり,カレル・ライスが監督したアラン・シリトーAlan Sillitoe(1928‐ )原作の《土曜の夜と日曜の朝》(1960),アラン・シリトー原作,トニー・リチャードソン製作・監督の《長距離ランナーの孤独》(1962),カレル・ライスが製作,アンダーソンが監督した《孤独の報酬》(1963)などがその代表作とみなされる。【宇田川 幸洋】。…

※「土曜の夜と日曜の朝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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