一般的には,配偶者以外の者との性交渉をいう。厳格な性の抑制を特徴とする社会,例えばイスラム社会では,婚姻外の性交渉のすべてをこれに含めて禁止,制裁を科している。姦夫は石打ちの死刑,夫による姦婦の殺害も合法である。古くはハンムラピ法典も死刑をもってのぞみ,キリスト教,ユダヤ教もこれを禁じている。姦通を厳しく禁止,タブー視するのが一般的だが,非西欧社会では,姦通に厳しく対処する社会もある一方で,近親相姦を除いてこのような性交渉に寛容な社会が多い(オセアニアの島々,アフリカ,中央アジアの多数の社会)。兄嫁と弟との性交渉を許容してきた社会(ツングース族,カカ族等多数),交易・狩猟仲間同士の数日間の交換妻の許容(エスキモー)など多種・多様な事例が報告されている。これらは協業関係,子ども同士の連帯強化や相続制度に機能し,それぞれの文化の構造を規定づけている。
→姦通罪
執筆者:湯浅 道男
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…旧中国における宗族秩序の上からは一夫一妻の原則にたつから,めかけは公的地位をもたず弱い立場にあったが,単なる秘密の囲い女ではなく,家族の成員たる身分を礼と律の上に制度づけられていた。めかけは夫を〈君〉と,正妻を〈女君〉と呼び,めかけも夫に貞操の義務を負い,これに反すれば姦通として処罰される。夫が死亡のときは妻と同様の喪に服し,意に反して夫の家から強制的に追い出すことは違法とされ,遺産の分与にも養老の観点から一代限り認められることがある。…
…姦通をした姦夫を本夫が殺害すること。中世においては敵討,妻敵討と併称されて盛んに行われた。…
※「姦通」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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