姦通(読み)カンツウ

デジタル大辞泉 「姦通」の意味・読み・例文・類語

かん‐つう【×姦通】

[名](スル)道徳や法にそむいた関係をもつこと。特に、既婚者が、配偶者以外の異性肉体関係をもつこと。不義密通
[類語]不倫密通私通姦淫野合乱交内通不義不貞浮気虫が付く

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「姦通」の意味・読み・例文・類語

かん‐つう【姦通・姧通】

  1. 〘 名詞 〙 男女が道徳や法に反して情を通じること。また、特に夫のある女が、他の男と情を通じること。不義。密通。
    1. [初出の実例]「謂。〈略〉仮令。初不主婚。和合姧通。後由祖父母等。已聴婚娶」(出典:令義解(833)戸)
    2. 「はじめ利勇(りゆう)と姦通(カンツウ)し、なほ飽ずして」(出典:読本・椿説弓張月(1807‐11)続)
    3. [その他の文献]〔後漢書‐独行伝・李業〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「姦通」の意味・わかりやすい解説

姦通 (かんつう)
adultery

一般的には,配偶者以外の者との性交渉をいう。厳格な性の抑制を特徴とする社会,例えばイスラム社会では,婚姻外の性交渉のすべてをこれに含めて禁止,制裁を科している。姦夫は石打ちの死刑,夫による姦婦殺害も合法である。古くはハンムラピ法典も死刑をもってのぞみ,キリスト教ユダヤ教もこれを禁じている。姦通を厳しく禁止,タブー視するのが一般的だが,非西欧社会では,姦通に厳しく対処する社会もある一方で,近親相姦を除いてこのような性交渉に寛容な社会が多い(オセアニア島々,アフリカ,中央アジアの多数の社会)。兄嫁と弟との性交渉を許容してきた社会(ツングース族,カカ族等多数),交易・狩猟仲間同士の数日間の交換妻の許容(エスキモー)など多種・多様な事例が報告されている。これらは協業関係,子ども同士の連帯強化や相続制度に機能し,それぞれの文化の構造を規定づけている。
姦通罪
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「姦通」の意味・わかりやすい解説

姦通【かんつう】

配偶者ある者と配偶者以外の異性との合意の性的関係。刑法183条は,妻の姦通を,夫の告訴をまって本人と相手の男を処罰(2年以下の懲役)していたが,新憲法の男女平等の理念に反するので,両者不可罰の立場から1947年廃止された。民法上は,不貞な行為として裁判上の離婚原因となる(民法770条)。
→関連項目刑法貞操

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

普及版 字通 「姦通」の読み・字形・画数・意味

【姦通】かんつう

密通する。

字通「姦」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の姦通の言及

【妾】より

…旧中国における宗族秩序の上からは一夫一妻の原則にたつから,めかけは公的地位をもたず弱い立場にあったが,単なる秘密の囲い女ではなく,家族の成員たる身分を礼と律の上に制度づけられていた。めかけは夫を〈君〉と,正妻を〈女君〉と呼び,めかけも夫に貞操の義務を負い,これに反すれば姦通として処罰される。夫が死亡のときは妻と同様の喪に服し,意に反して夫の家から強制的に追い出すことは違法とされ,遺産の分与にも養老の観点から一代限り認められることがある。…

【妻敵討】より

…姦通をした姦夫を本夫が殺害すること。中世においては敵討,妻敵討と併称されて盛んに行われた。…

※「姦通」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」