口語体(読み)コウゴタイ

デジタル大辞泉 「口語体」の意味・読み・例文・類語

こうご‐たい【口語体】

ある時代の、話し言葉形式。話し言葉体。
現代の、話し言葉に基づく文章の形式。口語文文体常体(「だ体」「である体」など)と敬体(「です・ます体」「でございます体」「であります体」など)とがある。⇔文語体

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精選版 日本国語大辞典 「口語体」の意味・読み・例文・類語

こうご‐たい【口語体】

  1. 〘 名詞 〙 口語主調とする文体。文語体に対して、話しことばを基にした、現代普通の文章の形式。助動詞の違いに応じて、常体(だ体、である体など)、敬体(です・ます体、でございます体、であります体など)に分けられる。口語。
    1. [初出の実例]「雑報欄には、一切口語体を用ゐるやうにした」(出典:言語学雑誌‐明治三三年(1900)三月一五日)

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改訂新版 世界大百科事典 「口語体」の意味・わかりやすい解説

口語体 (こうごたい)

主として文字に書き記す文章のうえで,話しことばの語彙(ごい)文法をよく反映している文章の体をいい,話しことばにはふつう用いられない語彙文法を主とする文章の体(文語体)に対する。明治初年には,書きことばとして雅文体,漢文書下し体,候文(そうろうぶん)体など,諸種のものがあり,それらは話しことばとは大いにかけ離れたものであったが,その中から普通文という標準文語文体の文章が形を成す一方で,言文一致運動に伴って,従来俗文として卑しめられた話しことば風の書きことばが言文一致体にとりあげられ,さらに普通文の文語体に対する口語体としての地位を占めた。口語体は,とくに小説家によって普及し洗練されたが,1904年(明治37)の国定の《尋常小学読本》では過半の文章が口語体をとり,またしだいに口語詩口語歌の発生をもみた。新聞は21年(大正10)ころ,公用文は46年(昭和21)に至って,すべてに口語体を採用することになり,現今では,擬古的な詩歌のほか,文語体によるものはまれである。しかし現在の口語文にも,たとえば〈内閣の首長たる総理大臣〉〈教育の力にまつべきもの〉〈思わざるをえない〉などの文語要素の残存はある。口語体は,文末において〈だ〉や〈である〉を用いるものと,〈ます〉〈です〉を用いるものとに大別されるが,文芸家の言文一致には最初からそれぞれの体が試みられた。〈ます〉〈です〉体は特定の相手を意識してのていねいな表現で,多く手紙や婦女子の読物に用いられて敬体といい,〈だ〉体,〈である〉体は特定の相手のない,独白的・一般的表現で常体という。そのうち,〈である〉はふつう文章に書くときにしか用いないので,その体の文章は,新しい文語体ということもできる。
言文一致 →口語 →文語体
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百科事典マイペディア 「口語体」の意味・わかりやすい解説

口語体【こうごたい】

現代の話し言葉,特に共通語に基づく文章の様式。明治以来言文一致運動により,口語との懸隔の大きい文語体に代わるものとして,口語体が発達した。とくに小説家によって普及,洗練されたが,1904年国定教科書では過半の文章が口語体となり,新聞は1921年ごろ,公用文は1946年にすべて口語体を採用することになった。文尾の表現によって,〈だ調〉〈である調〉〈です・ます調〉などに類別される。
→関連項目口語文語体

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「口語体」の意味・わかりやすい解説

口語体
こうごたい

話し言葉に基礎をおく書き言葉の文体。言文一致運動を経て次第に定着し,現在では書き言葉の大多数が口語体である。 (→文語 )

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世界大百科事典(旧版)内の口語体の言及

【口語】より

…ところで書きことばは本来は話しことばにもとづくはずのものであるが,日本では書きことばは独特の発達をして,話しことばをよく反映するものと,はなはだしくそれから離れたものとを生じた。この前者を〈口語〉,後者を〈文語〉ということがあり,それによって書かれた文章をそれぞれ〈口語文〉と〈文語文〉,その文体を〈口語体〉と〈文語体〉という。この場合,口語とは,話しことばをよく反映した書きことばを意味する。…

※「口語体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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