日本大百科全書(ニッポニカ) 「圧接法」の意味・わかりやすい解説
圧接法
あっせつほう
pressure welding
同種または異種金属の2個の素材に圧力をかけて接合させる方法。高温度で行う熱間圧接と室温で行う冷間圧接とがある。熱間圧接法では、2個の金属素材の表面を接触させ、融点直下あるいはそれ以下の温度で圧力をかけ、金属の表面に存在する酸化膜を破壊して、両金属の表面原子を、それらが金属結合を形成することのできる距離まで接近させる。冷間圧接法では、あらかじめ両金属素材の表面を清浄にし、ブラッシングを行うことが有効である。ブラッシングの効果については、圧力によって破壊しやすい硬く、もろい層を表面に形成させるためともいわれている。熱間、冷間圧接ともに必要な圧力をかける方法は圧延、押出し、引抜きなど通常の塑性加工法でよい。雰囲気の効果は重要で、宇宙空間のように高度の真空の下では、わずかな圧力で圧接することができる。結合の機構は金属結合が主であるが、高温・熱間圧接では相互拡散の効果が加わる。
なお、2本の金属棒材を突き合わせ、端面でこすり合わせるときの摩擦発熱で両棒材の端部を溶解させ溶接する方法は摩擦圧接とよばれるが、これは溶接に属する。
[志村宗昭・原善四郎]