改訂新版 世界大百科事典 「地方長官会議」の意味・わかりやすい解説
地方長官会議 (ちほうちょうかんかいぎ)
内務大臣が内閣の意向を受けて府県知事を招集しておこなった会議。長官の呼称は,1873年6月の〈改定律例〉76条で知事および令と定めた規定によっている。この会議は,明治初年には地方官会議と呼ばれていた。それは,長官が出席できないときには〈奏任出仕〉の人間が出席するよう示達されていたからである。当時,会議は議会めいた運営であったが,81年からは諮問会,相談会の性格をもち,明治中期に地方長官会議と通称されるようになってからは,この会議の運用のしかたも役割も定まった。会議は通例毎年1回,通常議会,もしくはこれにかわる特別議会の終了後に開かれ,時の政府が新しく制定した法律,予算を中心に施策や方針を地方長官に伝え,その実施の趣旨を徹底的,総合的に指示するとともに,政府が地方の実情を把握し意見を聴取するための会議でもあった。内務省官僚で官選知事としての地方長官会議は,大久保利通内務卿のときの1875年から1947年大村清一内相の時代にいたるまで,総計112回開かれ,難題に直面した日清・日露戦争,第1次世界大戦,世界恐慌時には年に2,3回開催されている。なお,地方長官会議の後には,警察部長会議が招集されるのが通常で,この警察行政を含めて地方長官は会議終了後,市町村長会議(郡長会議)等を開いて必要事項を指示することになっていた。
執筆者:金原 左門
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報