坂上大嬢(読み)さかのうえのおおいらつめ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「坂上大嬢」の意味・わかりやすい解説

坂上大嬢
さかのうえのおおいらつめ

生没年不詳。奈良時代の歌人。父は大伴宿奈麻呂(おおとものすくなまろ)。母はその異母妹で万葉歌人の坂上郎女(いらつめ)。従兄弟(いとこ)の大伴家持(やかもち)の妻。家持と恋愛関係にあったころ(730年代)彼に贈った短歌11首が『万葉集』に収められている。歌風は後期万葉の傾向を反映して、おおむね類型的で平明だが、ときに新鮮な感覚・表現の作もある。「春日山(かすがやま)霞(かすみ)たなびき心ぐく照れる月夜にひとりかも寝む」(巻4)もその一例で、一種甘くやるせない思いを誘う眼前の景を通してひとり寝のせつなさを訴えた佳作

[遠藤 宏]

『小野寛著『大伴家持研究』(1980・笠間書院)』

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