垂穂郷(読み)たるほごう

日本歴史地名大系 「垂穂郷」の解説

垂穂郷
たるほごう

和名抄」高山寺本に「垂穂」、東急本には「乗穂」とある。天平四年(七三二)三月二五日の僧智首解(正倉院文書)に秦公豊足は「美濃国当嗜(多芸)郡垂穂郷三宅里戸頭秦公麿之戸口」とみえることから、垂穂郷を採用する。他に同名の郡郷はないが、播磨国明石郡垂水郷や同国揖保郡を揖穂郡と表記する例があることから、タルホとよんだと推定される。比定地は諸説あり一定していない。「日本地理志料」は多良たら(現養老郡上石津町)を垂穂の転訛と考えて、同村にあてている。一方「大日本地名辞書」は乗穂郷をとり、「乗と剰は俗字通用したり、剰は剰有の義よりアリとも仮借したる歟」として、上多度かみたど有尾ありお(現養老郡養老町)を乗穂の転じたものと考え、有尾一帯を比定地としている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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