日本大百科全書(ニッポニカ) 「多度」の意味・わかりやすい解説
多度
たど
三重県北部、桑名郡(くわなぐん)にあった旧町名(多度町(ちょう))。現在は桑名市の北部を占める一地域。養老(ようろう)山地の南端にあり、肱江(ひじえ)川、多度川の流域を占める。旧多度町は、1954年(昭和29)町制施行。翌1955年野代(のしろ)、古浜(ふるはま)、古美(ふるみ)、七取(ななとり)の4村を編入。2004年(平成16)長島町とともに桑名市に合併した。名称は多度大社に由来。東部の揖斐(いび)川右岸は低湿地であるが、南西部は養老山地へかかる丘陵で、北部は多度山(403メートル)を含む養老断層の急崖(きゅうがい)となっている。東部を近畿日本鉄道養老線、国道258号が通じる。低湿地は水田、蓮根(れんこん)田など、丘陵では富有ガキが古くからの名産で、クリ、ミカンも産する農村であるが、1983年富士通三重製作所(現、富士通セミコンダクター三重工場)が立地した。水郷県立自然公園に属し、多度山、多度峡などの行楽地がある。多度大社(北伊勢(いせ)大神宮)は1500年の歴史をもち、例祭で行われる上げ馬神事は県の無形民俗文化財。
[伊藤達雄]
『饗庭義門編『多度町史』(1963・多度町)』▽『『多度町史』全5巻(1995~2004・多度町)』