基底核の障害

内科学 第10版 「基底核の障害」の解説

基底核の障害(間脳・大脳基底核障害の特徴)

(2)基底核の障害
 基底核は尾状核,被殻,淡蒼球,視床下核と黒質を指し,これらを錐体外路系とよぶ.基底核障害の症候は運動過多(舞踏運動,バリズムなど)と運動過少(Parkinson症状)に大別される.基底核の機能は同側の皮質脊髄路(錐体路)機能の調節である.錐体路は交叉するために,一側の基底核障害の症候は対側上下肢に現れる.
1)Parkinson症状:
黒質に代表されるドパミン系の機能障害である.寡動,筋強剛,安静時振戦,姿勢反射障害として現れる.瞬目,唾液嚥下など無意識に行われる運動の量が減ることから凝視流涎がみられる.紐結びなど左右の手で異なった動きをしなければならない動作が優位に障害される.
2)舞踏運動(chorea):
線条体障害の症状であり,脳梗塞などでは一側性に現れることがある.四肢末梢優位の不規則な速い不随運動である.
3)バリズム(ballism):
視床下核の病変で生じる.四肢全体の激しい不随意運動で,投げ出すような,打ちつけるような動きである.
4)ジストニー(dystonia):
主動筋と拮抗筋が同時に活動することによって生じる異常な筋緊張状態で,さまざまの異常姿位を示す.
5)ジスキネジー(dyskinesia):
ジストニー要素を伴った不随意運動である.
6)アテトーゼ(athetosis):
手指その他の部位を一定姿位に保つことができず,常時ゆっくりと動かしている不随意運動である.線条体の病変による.[中野今治]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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