朝日日本歴史人物事典 「堀流水軒」の解説
堀流水軒
江戸時代に広く普及した『商売往来』の原作者。京都の手習師匠とされてきたが,阿波徳島の出身で大坂在住の書家兼作家ともいわれる。同書は,商取引に関する帳面類,貨幣,商品,商人生活に必要な教養,教訓の4部分から成り,列挙された商品関係語彙は296にわたる。元禄7(1694)年に刊行されて以後,商人のみならず生産者,消費者の日常生活にも役立つ教科書となり,その版は200種をこえて寺子屋や庶民の家庭に流布した。他に,同じく広く流布した『正徳御条目』『寺子教訓書』などの手本類を著している。<参考文献>石川松太郎編『日本教科書大系』往来編12巻,三好信浩『商売往来の世界』
(石川松太郎・天野晴子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報