場所の論理(読み)ばしょのろんり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「場所の論理」の意味・わかりやすい解説

場所の論理
ばしょのろんり

西田幾多郎哲学用語。述語論理ともいう。西田初期の哲学における純粋経験や絶対意志という直観概念を論理化するために見出された中期以後の概念。彼は自覚を根本的な「働き」と考えて,その底に「見るものなくして見るもの」を想定し,それを概念化して「場所」と呼んだ (『働くものから見るものへ』所収,第7論文「場所」) 。すなわち「場所」とは「自己自身を無にして無限の有を含む」もので,有のカテゴリー (主語) と無のカテゴリー (述語) の関係で論理化される。これは自覚において直観と反省とを統一する論理となり,以後の彼の思想の体系化における基本的概念となった。

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世界大百科事典(旧版)内の場所の論理の言及

【西田幾多郎】より

…京大哲学科はそのころから波多野精一,深田康算,朝永三十郎,やがては田辺元らを擁して,日本のアカデミー哲学の中心となり,三木清をはじめ多くの青年が西田や波多野を慕って京大に学ぶようになった。 西田は,やがて《自覚に於ける直観と反省》(1917)等の著作を通して,はじめの純粋経験の立場のもつ主観主義,主意主義にきびしい批判を重ね,ついに〈場所の論理〉に到達した。それは,実在の根底を弁証法的一般者とし,単に反省的思惟ではない行為的直観におけるその自己限定として世界をみる〈絶対矛盾的自己同一〉の論理であり,〈知〉と〈行〉の一致の極致としての絶対無の弁証法的論理であった。…

※「場所の論理」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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