塔之原村（読み）とうのはらむら

日本歴史地名大系

塔之原村
とうのはらむら

• 鹿児島県：薩摩郡
• 樋脇町
• 塔之原村

[現在地名]樋脇町塔之原

入来（いりき）川と市比野（いちひの）川が合流して樋脇川（川内川支流）となる地域一帯を中心に、樋脇郷の中央部に位置。東は入来郷副田（そえだ）村（現入来町）、西は山田（やまだ）郷山田村（現川内市）、南は市比野村、北は西から中（なか）村・久住（くじゆう）村（現川内市）、倉野（くらの）村。中世は入来院のうち。建長二年（一二五〇）四月二八日の関東下知状（入来院文書）に「塔原」、同年一二月日の入来院内村々田地年貢等注文（同文書）には「たうのはらの村」とみえる。文禄検地後、当村は答（けどう）院領主として日向国都城から移ってきた北郷氏一族の三久領となった。慶長一八年（一六一三）入来院重高が清敷領主として復封し、当村もその支配下となったが、同地にはそれ以前の島津氏家臣団（衆中）が多数残留していて入来院氏の家臣団（家中士）との紛争が絶えなかった。そこで万治二年（一六五九）鹿児島藩は清敷（きよしき）を二分割し、当村と周辺の市比野村・倉野村、久住村・中村・楠元（くすもと）村（現川内市）の六ヵ村をもって改めて清敷郷を設けた（「平佐由緒書」東京大学史料編纂所蔵）。延宝九年（一六八一）に清敷郷が樋脇郷と改称した後は同郷の一村として幕末に至った。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」