施餓鬼(読み)せがき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

施餓鬼
せがき

仏教の儀式の一つで,餓鬼に施すために行われる法会浄土真宗を除いて,ほとんど各宗で行われている。盂蘭盆会に祖先の霊を供養するために行われる場合が多い。禅宗では特に施餓鬼を重視し,生飯 (さば) の儀式を毎食前に行なっている。

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百科事典マイペディアの解説

施餓鬼【せがき】

施食会(せじきえ)とも。仏教で行う法会の一つ。餓鬼道におち飢餓に苦しむ者を救うため,水や食物を施す修法。阿難が焔口餓鬼に告げられて行ったのが始まりと伝える。中国では清浄な地に水や食物を投げて悪鬼を払う(水陸会)。日本では盂蘭盆会(うらぼんえ)の精霊供養と同時に行う例が多いが,中世・近世には飢饉や戦乱,大火などの難民を集めて,幕府や大寺院がよく行った。
→関連項目餓鬼

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世界大百科事典 第2版の解説

せがき【施餓鬼】

飢渇に苦しむ餓鬼のために,飲食を施す法会を施餓鬼会,略して施餓鬼という。施食(せじき)会とも冥陽(めいよう)会ともいう。中国では唐代に施餓鬼会に関する経典が訳出され,これらの経軌に基づいて法会が行われた。日本へは入唐僧によって経典と実修法がもたらされ,はじめは密教系の僧によって行われた。その後禅宗寺院でも実施され,鎌倉時代末期から諸宗間で行われた。現在でも真宗以外の各宗で広く修される。この法会は本来随時に修されたが,いつの時代からか,とくに盆に行うようになり,この施餓鬼の法会を指して盂蘭盆(うらぼん)会というようにさえなった。

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大辞林 第三版の解説

せがき【施餓鬼】

餓鬼の世界におちて飢餓に苦しむ亡者に食物を供えて弔う法会。もともと時節を選ばずに行われたが、盂蘭盆会うらぼんえとともに行われることが多く、両者が混同されるようになった。真宗以外の各宗派で行われる。施餓鬼会せがきえ[季] 秋。 「 -棚」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

施餓鬼
せがき

悪道に堕(お)ちて飢えに苦しむ餓鬼に飲食物を施すこと。施餓鬼会(え)の略。水陸会(すいりくえ)ともいう。餓鬼はサンスクリット語プレータpretaの訳で、「死者」または「死者霊」を原義とし、のちには子孫が絶えて供養(くよう)がなされず、つねに飢餓に苦しむ亡霊の意味がある。仏教では吝貪(りんどん)で布施せぬ者が死後、餓鬼に生まれ、飢渇に苦しむとされ、彼らの住む餓鬼世界(餓鬼道)は六道輪廻(りんね)の一となった。中国では、飢餓に悩む鬼神や餓鬼に飲食を施す餓鬼供養の法会が発展し、また、『盂蘭盆経(うらぼんぎょう)』の目連(もくれん)救母伝説と合して、悪道に堕ちて苦しむ先祖供養のための法会ともされた。とくに唐代には多くの経軌(きょうき)が編纂(へんさん)され、日本にも空海らにより将来された。施餓鬼会は最初真言(しんごん)宗で、鎌倉期以降は浄土真宗を除く各派で行われるようになり、今日に至っている。各派で儀式の内容はいくぶん異なるが、いずれも新亡精霊の冥福(めいふく)と無縁仏(むえんぶつ)への追善供養の意味が重なっている。盂蘭盆会に付随して行われることが多いが、本来は随時に行いうるものである。水死者やお産で亡くなった人のための川施餓鬼、水施餓鬼もある。[奈良康明]

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精選版 日本国語大辞典の解説

せ‐がき【施餓鬼】

〘名〙
① (「せがきえ(施餓鬼会)」の略) 仏語。餓鬼道におちて飢餓に苦しむ亡者(餓鬼)に飲食物を施す意で、無縁の亡者のために催す読経や供養。真宗以外で広く行なわれる。本来、時節を限らない。七月一日より一五日にわたって行なわれるものは盂蘭盆の施餓鬼。施餓鬼祭。《季・秋》
※栂尾明恵上人伝記(1232‐50頃)上「仍て上人其れより施餓鬼(セガキ)法をぞ毎夕修し給ひける」
※御湯殿上日記‐文明一四年(1482)一一月二七日「けふはふしみの御寺にてせかきあり」
② (①に供える散飯(さば)に鯖(さば)をかけていったものか) 鯖のこと。
※浄瑠璃・神霊矢口渡(1770)四「せがきとは鯖の事」

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世界大百科事典内の施餓鬼の言及

【盂蘭盆会】より

…のち朝廷の恒例仏事となり,諸大寺でも行われ,しだいに民間の各寺院へ普及した。平安時代になると,空海など渡唐僧によって施餓鬼(せがき)の法が伝えられ,鎌倉時代にはこれが諸宗派に取り入れられ,室町時代には施餓鬼会が盛んに行われた。本来,盂蘭盆会と施餓鬼会は別種の法会であるが,餓鬼無縁仏とが同じ意味で理解されるようになり,盆中または盆の前後に施餓鬼会が行われるようになった。…

※「施餓鬼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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