化学辞典 第2版 「塩化ゲルマニウム」の解説
塩化ゲルマニウム
エンカゲルマニウム
germanium chloride
二価と四価の化合物のほかに重合体が知られている.【Ⅰ】GeCl2(143.55).塩化ゲルマニウム(Ⅳ)とゲルマニウムを加熱すると得られる.淡黄色の不安定な粉末.空気中室温で容易に酸化されて四価の化合物になる.ほかに構造不明の重合体 (GeCl)x があり,水,有機溶媒に不溶.[CAS 10060-11-4]【Ⅱ】GeCl4(214.45).二酸化ゲルマニウムを塩酸に溶解するか,ゲルマニウムを塩素気流中で加熱すると得られる.ゲルマニウムの塩化物中もっとも安定で,常温で無色の液体.融点-49.5 ℃,沸点84.0 ℃.密度1.84 g cm-3.水と徐々に反応して酸化ゲルマニウム(Ⅳ)と塩酸になる.GeCl4は有機化合物と付加物をつくりやすく有機溶媒によく溶ける.GeCl4の揮発性はゲルマニウムの精製に利用される.[CAS 10038-98-9]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報