二酸化ゲルマニウム(読み)にさんかゲルマニウム(その他表記)germanium dioxide

改訂新版 世界大百科事典 「二酸化ゲルマニウム」の意味・わかりやすい解説

二酸化ゲルマニウム (にさんかゲルマニウム)
germanium dioxide

化学式GeO2無色固体で,水に可溶性の六方晶系に属する結晶と,不溶性の正方晶系に属する結晶とがある。転移温度は1033℃で,水溶性のほうが低温で安定である。正方晶系の結晶の密度は6.24g/cm3で融点1086℃。一方,六方晶系の結晶の密度は4.23g/cm3と比較的小さく,融点は1116℃である。密度は熱処理のしかたによりやや変わる。融解したものを急冷すると水溶性の非晶質の固体が得られる。水に不溶性のものは酸にも不溶であるが,濃アルカリには徐々に侵される。水に可溶性のものは多くの酸やアルカリに可溶であるが,塩酸,水酸化ナトリウム水溶液,アンモニア水には不溶。四塩化ゲルマニウムGeCl4加水分解により得られ,水素で還元すると単体のゲルマニウムとなる。半導体用高純度ゲルマニウムの製造の中間体として重要である。赤外透過性であり,ガラスに添加すると屈折率を高めるので,レンズ,プリズム用の特殊ガラスの原料とされる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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