塩原植物群(読み)しおばらしょくぶつぐん

改訂新版 世界大百科事典 「塩原植物群」の意味・わかりやすい解説

塩原植物群 (しおばらしょくぶつぐん)

栃木県那須塩原市の旧塩原町に分布する洪積世(更新世)の化石堆積物中に含まれる化石植物総称。1940年遠藤誠道によってそのほぼ全体のようすが明らかにされた。化石はその大部分が被子植物の落葉広葉樹で,そのおもなものは,ハンノキ,カバ,シデ,ブナ,ナナカマド,カエデ,シナノキなどである。また化石種の大部分は,現在この地のまわりに生育しているものと同種で,現在までに100種をこえる種が識別されている。塩原植物群は,現在よりも年平均気温が5~5.5℃ほど低い気候下で生育したものと遠藤は考えたが,ごく最近の研究によれば,塩原植物群が繁茂していたころの気温は現在と大差がないという。化石は薄くわれる淡色で泥質の堆積物の地層面によく保存され,木の葉石とも呼ばれている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の塩原植物群の言及

【木の葉石】より

…これは,昔(地質時代)の木の葉が,砂や粘土,または火山灰などとともに静かな水底で堆積したもので,〈葉の化石〉にほかならない。塩原植物群は約130種のおもに広葉樹からなり,その組成から当時の温帯北部に生育したものと考えられている。【木村 達明】。…

※「塩原植物群」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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