日本大百科全書(ニッポニカ) 「塩焼き」の意味・わかりやすい解説
塩焼き
しおやき
魚貝類に塩をふりかけて焼く調理法。焼き物の基本は塩焼きにあり、塩の用い方をふり塩という。魚の表面に塩を加えると、浸透して肉がしまり形がくずれないでよく焼ける。魚貝類などに塩を加えると、含まれているタンパク質は溶けるが、熱を加えると、ふたたび固まり内部のうま味が逃げない。塩のふり方は、白身魚や小魚は焼く直前に塩をふるほうがよく、青背の魚や脂肪の多い魚は焼く30分から1時間前に塩をする。なお、30センチメートル以上の魚を姿のまま焼くときは、背肉の厚い部分には塩を多くふる。魚貝類などを焼くには金串(かなぐし)を打つ。おどり串(うねり串)は魚を盛り付けたとき下になる側の目の下から串を入れ、尾に向って真中が高くなるように縫って打ち、尾をぴんと跳ね上げる。平串(ひらぐし)はうねらせなくてもいい魚や、大量に焼くときに用いる。すくい串はイカなどに用い、表面に串が目立たないようにする。
[多田鉄之助]