夏目漱石財団(読み)なつめそうせきざいだん(英語表記)The Soseki Natsume Foundation

知恵蔵 「夏目漱石財団」の解説

夏目漱石財団

夏目漱石の次男伸六の孫・夏目一人が2009年4月1日に設立した財団。正式名称は「一般財団法人 夏目漱石」。「一般財団法人」として登記されている。
財団設立の趣旨は「夏目漱石の偉業を称(たた)えるとともに文芸復興を図り、豊かな社会の実現に寄与する」というもの。漱石に関する人格権、肖像権、商標権、意匠権その他無体財産権の管理事業を行い、また漱石賞や漱石検定、各種フォーラムを実施するとしている。なお、夏目漱石の著作権は1946年に消滅している。一人が代表理事を務める他、漱石の孫で一人の母である夏目沙代子が役員に加わっている。
この財団の設立に関しては、親族間で反対する動きが起こっている。漱石の孫でありマンガ批評家の夏目房之介は、報道機関に文書を送り、それをブログ上で公開した。「『漱石という存在はすでに我が国の共有文化財産であり、その利用に遺族や特定の者が権利を主張し、介入すべきではない』というのが私の理念だからです」と反対理由を述べている。房之介は、著作権などの利用に報酬を要求せず、介入をしないことを方針としてきたという。
房之介の呼びかけに同意した親族は半藤末利子、吉田一恵、仲地漱祐、岡田千恵子、夏目倫之介、新田太郎、松岡陽子マックレイン、夏目季代子。
この動きに対し、財団側では「財団設立に際し親族間の行き違いがあり、現在当事者間の話し合いを進めているところです」とコメントしている。なお、同財団は2009年10月5日までに解散することを決めた。

(小林拓矢  フリーライター / 2009年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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