財団(読み)ザイダン

デジタル大辞泉 「財団」の意味・読み・例文・類語

ざい‐だん【財団】

一定目的のために結合された財産集合体抵当権の目的とされる工場財団鉱業財団など。→社団
財団法人」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「財団」の意味・読み・例文・類語

ざい‐だん【財団】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ある目的のために結合されている財産の集合体。抵当権の目的とされる鉄道財団、工場財団、鉱業財団など。〔袖珍新聞語辞典(1919)〕
  3. ざいだんほうじん(財団法人)」の略。
    1. [初出の実例]「公又は私の法人及び其資格に於て訴へらるることを得る会社其他の社団又は財団等の普通裁判籍は其所在地に依りて定まる」(出典:民事訴訟法(明治二三年)(1890)一四条)

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改訂新版 世界大百科事典 「財団」の意味・わかりやすい解説

財団 (ざいだん)

一定目的のために結合された財産の集合体。財産の集合体を法人として独立の権利義務の主体とする形態のものと,そうでないものとの2種に大別される。財団法人相続財産法人は,前者に属する。後者に属するものとしては,抵当権の目的とするために設定される工場財団,鉄道財団等の各種の財団(〈財団抵当〉の項参照)や破産財団がある。債権担保を目的とする抵当権は,通常,個々の不動産ごとに設定され,質権も個々の動産や債権等について設定されるが,企業財産を一括して担保の目的とすることができれば便利である。各種の抵当財団は,このような目的で特別法により設定を認められた財産の集合体である。財団の内容は登記または登録によって示される。また,破産宣告があった場合,債権者の権利を保護するため,破産宣告時の破産者の全財産につきその管理・処分権が管財人に移されるが,この破産者の財産の集合体が破産財団である。このほか,特定の公益目的を定めて提供された財産も財団としての性格を有するが,財団法人を設立するなど出捐(しゆつえん)者の個人財産から完全に分離・独立させない限り,財団としての独立性は認めがたい。なお,相続人が不明の場合,遺産は法人として扱われ(民法951条),法人型の財団となるが,この相続財産法人は一種の清算を目的とする点で,破産財団に近い性格をおびている。
執筆者:

アメリカの財団foundationは,自己運用資金をもち,独自の理事会または評議会によって運営され,非営利の社会的,教育的,宗教的その他の公共福祉事業の推進を目的として設立されている。日本の公益財団法人がほぼこれに当たるといえよう。アメリカにおける財団組織の源流は,植民地時代にまでさかのぼるが,カーネギー財団国際平和カーネギー基金),ロックフェラー財団フォード財団等の大規模な財団が設立されるようになったのは20世紀初頭のことである。現在アメリカには2万5000以上の財団があるが,その大多数は1940年以降設立されたものである。これらの財団は商業,工業,金融の盛んな人口の多い都市に集中しているが,一方ではアラスカを含む全米各地に広がっており,各地域の公共・福祉事業の推進に大きく貢献している。これらの財団活動の基本理念は,キリスト教の伝統に深く根ざした慈善寄付,社会奉仕博愛主義の精神であるといえよう。

 アメリカの財団には大きく分けて,独自の事業を運営する事業財団と,他者に助成金を交付することを主要事業とする非事業財団の2種類がある。非事業財団には,資金援助の対象が広範囲の社会教育,福祉事業にわたる多目的財団general-purpose foundationと,その対象が教育,医療問題等の特定の分野に限定されている特定目的財団special-purpose foundationがある。また資金源,運営組織の性格により,家族財団family foundation,企業財団company foundation,地域信託community trustの3種類に分類される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「財団」の意味・わかりやすい解説

財団
ざいだん

特定の目的のために結合された財産の集合体をいう。財団の種類としては、第一に、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)によって認められる一般財団法人がある(同法152条以下)。財団法人とは、財産の集合体で法律に基づいて権利の主体となることが認められるものである。一般財団法人のうち、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号)によって公益性が認められる法人は公益財団法人である。第二に、民法上、相続人の存在が不明のときに、相続財産法人が認められるが(951条)、それは相続財産を一種の財団とみて、これを権利義務の主体とし、相続財産の清算をさせようとするものである。第三に、民法上、相続に関し、限定承認(922条以下)や財産分離(941条)により、被相続人の財産が独立性をもつことにより、実質的にそれは財団となる。第四に、民法の特別法として、工場抵当法鉄道抵当法などに基づく工場財団や鉄道財団が、不動産・動産その他の財産を一括して抵当権の対象として金融を受けられることとしている。そのほか、破産法は、破産者の財産を破産財団とし、これを権利義務の主体として財産の整理をすることとしている。

[川井 健]

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百科事典マイペディア 「財団」の意味・わかりやすい解説

財団【ざいだん】

一定の目的によって結合された財産の集団。財団は権利の客体としての単位(一個の物)となり,また権利の主体としての単位(法人)となることがある。前者の例が財団抵当であり,後者が財団法人である。
→関連項目工場抵当社団

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「財団」の意味・わかりやすい解説

財団
ざいだん

一定の目的のために提供された財産の集団。その財産が有体物に限らない点で集合物と異なる。財団は法律の要件を満たす場合,財団法人として,権利主体となることができるほか,財団として1個の有体物と同じように権利客体となることがある。

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