日本大百科全書(ニッポニカ) 「外国公務員贈賄防止条約」の意味・わかりやすい解説
外国公務員贈賄防止条約
がいこくこうむいんぞうわいぼうしじょうやく
条約参加国は、その国の法律で、商取引を得るために外国の公務員に贈賄した者を処罰することを内容とする条約。贈賄が行われた国では罰せられなくても、自国で処罰されることになる。1997年(平成9)12月に、日本を含む経済協力開発機構(OECD)加盟28か国と非加盟5か国の33か国がパリに集まり署名した(その後、2か国が加入)。アメリカには、これまでもこうした行為を罰する「海外腐敗行為防止法」が制定されていたが、贈賄が当然のことのように行われている国も多く、また、ドイツやフランスなどでは、こうした費用も税法上必要経費とできることとされていたため、アメリカが、OECDをつうじて国際ルール化を求めていた。この条約の確実な実施のため、日本では「不正競争防止法」が改正され、営業上の不正の利益を得るために外国公務員や外国の国営企業の職員、国際機関の職員などに利益を供与した者を処罰する規定(法人に対しては3億円以下の罰金)が設けられた。
[浅野一郎・浅野善治]