経済協力開発機構(OECD) 日米欧など38カ国が加盟する国際機関。1961年設立で、本部はパリ。「先進国クラブ」と称されるが、新興国の台頭による存在感低下が課題。今月からインドネシアの加盟審査手続きが始まった。第2次世界大戦後の欧州の復興計画「マーシャル・プラン」を推進する欧州経済協力機構が母体となった。国際経済の動向に関する議論や、貿易、開発援助などの分野を扱う。(ブリュッセル共同)
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経済協力開発機構Organization for Economic Co-operation and Developmentの略称。1961年9月30日発効のOECD条約にもとづき発足した国際機構であるが,前身のヨーロッパ経済協力機構Organization for European Economic Co-operation(略称OEEC)を改組・発展させたもの。本部パリ。
OEECは,ヨーロッパ復興計画(マーシャル・プラン)の援助受入れに際し,ヨーロッパ側の協力態勢を整えるための機関として1948年4月に設立されたものであり,パリに本部がおかれた。最初の2年間はアメリカからの復興援助の配分機関としての色彩が強かったが,アメリカとカナダが準加盟国となった50年を境に,欧州域内の貿易自由化の推進など経済面での協力関係の緊密化や経済関係の調整を図ることに重点が移った。50年代後半にはOEEC諸国の復興という目的も果たされ,アメリカも西ヨーロッパに対し対等のパートナーとしての役割を期待するようになり,改組の動きが出はじめた。
こうして60年,OECD条約調印,61年発効という運びとなった。OECD発足時の加盟国は,OEEC加盟18ヵ国(イギリス,西ドイツ,フランス,イタリア,ベネルクス3国,スウェーデン,ノルウェー,デンマーク,オーストリア,スイス,アイスランド,アイルランド,スペイン,ポルトガル,ギリシア,トルコ)にアメリカとカナダが加わった20ヵ国であった。その後64年には,IMF8条国,ガット(GATT)11条国へ移行し,OECDの資本・貿易外取引の自由化規約に沿う努力を果たした日本が加盟し,以後フィンランド,オーストラリア,ニュージーランド,メキシコ,チェコ,ハンガリー,ポーランド,韓国,スロバキヤが加盟して,2005年末現在の加盟国数は30ヵ国。
OECDの目的は,OECD条約にも示されているように,財政金融上の安定を維持しつつ,できるだけ高い経済成長,雇用の増大,生活水準の向上を図ること(経済政策),発展途上の諸地域の経済成長に寄与すること(開発援助),多角的,無差別な世界貿易の拡大(貿易外取引や資本取引の自由化も含まれる)に寄与すること(貿易)の三つである。しかし,国際エネルギー機関(IEA)がOECDの一部として1974年に発足したため,最近ではエネルギー問題を加えて4本の柱があるとされることが多い。
この四大目的に対しては,(1)経済政策委員会(EPC),(2)開発援助委員会(DAC(ダツク)),(3)貿易委員会,(4)IEAおよびエネルギー委員会がそれぞれ組織上では対応する。以上に加えて,経済動向審査,資本移動・貿易外取引,保険,海運,租税,制限的商慣行,資本市場,通貨・外国為替,国際投資・多国籍企業,消費者政策,工業,農業,労働力・社会問題,環境,科学技術,情報・通信,教育,原子力,鉄鋼,造船,都市問題,東西問題等について委員会,作業部会などが設けられているほか,教育研究革新センター(CERI)や開発センターといった組織もあり,多岐にわたる分野で加盟国政府間の意見交換と政策の調整を行っている。これら各種委員会の上部組織として理事会があり,これが最高の決定機関となっている。通常年1回は閣僚レベルによる閣僚理事会が開かれ,しばしば先進国首脳会談での議論にも影響を与えてきた。また,理事会を補佐する機関として執行委員会などがある。なお,世界経済に関する種々の統計も作成している。
執筆者:大来 洋一
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経済協力開発機構(Organization for Economic Cooperation and Development)の略称。1961年,発展途上国援助・自由貿易拡大を目的に欧州経済協力機構を改組のうえ発足。各国経済の年次審査・政策調整を行う。日本は64年(昭和39)に加盟。
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…また発展途上国に対しては,みずから発展する素地を培養するための協力・援助の必要性が増加し,途上国の問題解決のための問題についての共同研究や協力・援助が増大しつつある。また国連関係の機関,OECD(経済協力開発機構)等を通ずる多国間,あるいは日米,日英等の2国間の国際協力が,原子力,宇宙利用,科学技術者の交流,情報交換その他の分野で行われている。とくに世界経済活性化の鍵として先進国首脳会議において科学技術協力が強調され,また東南アジア諸国連合(ASEAN)との首脳会談でも科学技術協力がとりあげられるなど,科学技術が国際政治において大きな問題となる趨勢(すうせい)にある。…
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