外見的立憲主義
がいけんてきりっけんしゅぎ
Scheinkonstitutionalismus (ドイツ)
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
世界大百科事典(旧版)内の外見的立憲主義の言及
【大日本帝国憲法】より
…
[内容]
(1)基本的特色 大日本帝国憲法は,西欧諸国の近代憲法の体裁を一応とっていたが,君主権の強いドイツ型立憲君主制を範とし,それに日本独自の天皇中心の国家観を加味したものであっただけに,絶対主義的色彩を強く帯びていた。このため旧憲法は,議会を設けるなどの立憲的要素と絶対主義的要素の両要素からなっており,しかも後者が顕著なので〈外見的立憲主義〉との評価が与えられている。旧憲法は上喩と7章76条からなる簡潔なものであるが,天皇が制定した欽定憲法であり,その改正発案権は天皇のみにあり,発布の際の勅語では永遠に不滅な〈不磨の大典〉として位置づけられていた。…
【法律による行政】より
…このような行政と法律との形式的関係を規律するにすぎない〈法律による行政〉の原理は,一般に形式的法治主義とよばれる。 明治憲法においては,外見的立憲主義Scheinkonstitutionalismus(ドイツ)に照応して,まず,帝国議会は統治権の総攬者たる天皇の立法権を協賛するにすぎないし,帝国議会を構成する貴族院および衆議院も,国民の代表機関性において問題があった(大日本帝国憲法5,33~37条)。つぎに,天皇は,行政組織の規律などについて立法議会の侵しえない天皇大権を認められた(10~12,31条等。…
【立憲主義】より
…しかし,中世立憲主義があくまでく身分制的社会編成原理のうえに成り立っていたのに対し,近代立憲主義は,身分から解放された諸個人の人権,および,身分代表ではない国民代表議会を機軸とするものであるところに,両者の基本的な差異がある。 近代市民革命の成果のうえに,個人の解放の徹底によって立憲主義を追求しようとする方向(イギリス,フランス)に対し,それら先行する立憲主義の影響のもとに権利保障と権力分立を導入しながらも,君主権力を温存しようとする方向(プロイセン)を,とくに,外見的立憲主義Scheinkonstitutionalismus(ドイツ語)とよぶことがある。そこでは,〈外見的scheinbar〉であるかどうかは別として王権に対する関係での権力制約という意味でKonstitutionalismusという語が使われているわけであるが,別の文脈では,ドイツ語のKonstitutionalismusは,Parlamentarismusに対置されて,すなわち,議会の権力に対して制約的なものとして使われることがある。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」