多治比広成(読み)たじひのひろなり

改訂新版 世界大百科事典 「多治比広成」の意味・わかりやすい解説

多治比広成 (たじひのひろなり)
生没年:?-739(天平11)

奈良時代の文官,詩人。丹墀広成とも記す。左大臣多治比嶋の五男。708年(和銅1)従五位下下野守となり,以後歴官して732年(天平4)には遣唐大使に任ぜられ翌年出発,734年大隅国の多褹(たね)島に帰着し翌春入朝。このとき入唐留学生吉備真備らを伴い帰る。《懐風藻》に詩3首を残し,没時は中納言従三位であった。〈少(わか)くして蛍雪の志無く 長(ひととな)りても錦綺の工無し 適(たまさか)に文酒の会に逢い 終に不才の風(ふう)を恧(は)ず〉(《懐風藻》)。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「多治比広成」の解説

多治比広成 たじひの-ひろなり

?-739 奈良時代の公卿(くぎょう)。
多治比島の5男。天平(てんぴょう)4年遣唐大使となり,翌年唐(中国)にわたり,6年吉備真備(きびの-まきび),玄昉(げんぼう)らとともに帰国。9年参議をへて中納言となり,従三位にすすむ。「懐風藻」に詩3首がある。天平11年4月7日死去。氏は丹墀ともかく。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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