令外官(りょうげのかん)の一つ。和名では「なかのものもうすつかさ」と読み、唐名では黄門(こうもん)、門下侍郎(もんかじろう)にあてる。『日本書紀』によれば、692年(持統天皇6)に中納言三輪高市麻呂(みわのたけちまろ)の名がみえ、すでに浄御原(きよみはら)令制下に置かれていたことが知れるが、701年(大宝1)の大宝(たいほう)令施行当日この官を廃止した。705年(慶雲2)大納言2人を減じ、かわりに中納言粟田真人(あわたのまひと)、高向麻呂(たかむくのまろ)、阿倍宿奈麻呂(あべのすくなまろ)の3人を任じた。その職務は大納言に近く、政務の奏上、勅命の宣下に従事し、朝議にも参与した。また令外官のため相当位はなかったが、このとき正四位上とし、別に封200戸、資人(しじん)30人を支給され、761年(天平宝字5)には従三位(じゅさんみ)相当となった。
[渡辺直彦]
令制の太政官の官職名。大臣,大納言に次ぐ身分で,大納言らとともに朝政に参与し,律令国家の政務運営に当たった。制度の初見は天武朝の官制のときで,大宝令ではいったん廃されたが,705年(慶雲2)令外の官として定員3名が置かれ,明治維新まで存続した。員数は時代によって増減があり,権官も随時置かれた。正四位上相当官とされ,食封200戸,資人30人が給されたが,761年(天平宝字5)従三位相当官とされた。
執筆者:山本 信吉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
律令制の太政官において,大納言につぐ地位の令外官(りょうげのかん)。天武朝の納言が飛鳥浄御原(きよみはら)令で大・中・小にわけられ,大宝令でいったん廃止されたが,705年(慶雲2)の勅により大納言の定員を4人から2人に減じるとともに,大納言と同様に政務の奏上,勅命の宣下,朝政への参議を職掌とする定員3人,正四位上相当の令外官として再置された。761年(天平宝字5)には従三位相当となる。平安時代以降には権官(ごんかん)がほぼ常置され,その人数はしだいに増加した。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…この納言は天皇に近侍して,天皇の命令を臣下に宣し,臣下の意見を天皇に奏することを任とした。飛鳥浄御原令(689施行)の官制で納言は大納言,中納言,小納言に分けられた。しかし701年(大宝1)の大宝令の官制では中納言が廃止され,大納言には侍奉官,奏宣官の任とともに議政官としての権能が付与されたが,小納言改め少納言は侍奉官,奏宣官にとどめられた。…
※「中納言」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新