改訂新版 世界大百科事典 「多面鏡」の意味・わかりやすい解説
多面鏡 (ためんきょう)
polygon mirror
ポリゴン鏡ともいう。角度の標準器として用いられるほか,高速回転し,レーザーなどの光線を走査するために用いられるものとがある。円柱を正多角柱に加工し,その各側面が光線を十分反射するよう鏡面に仕上げられている。ガラス,または金属製でふつう保護ケースに組み込まれている。底面と平行な平面に投影された各反射面の法線とのなす角θを角度の標準にする。多面鏡は6面鏡(θ=60°)から72面鏡(θ=5°)までの各種のものがある。反射面の平面度は0.01μm,底面と各反射面の直角度は2秒以下,角度θの誤差は±1秒程度に作られている。また角度の誤差は±0.2秒の精度で校正されている。角度の標準器としての多面鏡は回転テーブルなどの分割精度をオートコリメーターとによって検査する。レーザー光線の走査用のものは,アルミ合金,無酸素銅製のものが多く,角度の標準器に用いられるものより反射率のよいものが必要とされている。
執筆者:横山 豊
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報