改訂新版 世界大百科事典 「直角度」の意味・わかりやすい解説
直角度 (ちょっかくど)
deviation from perpendicularity
perpendicularity deviation
直角度とは機械部品の基準とするデータム(平面または直線)に対して,直角であるべき平面形体または直線形体が,直角にある幾何学的に正しい平面または直線から狂っている大きさであり,姿勢偏差の一つである。データム平面に対する平面形体または直線形体,データム直線に対する平面形体または直線形体の四つがある。機械上で移動する物体,例えば前後,左右に動くテーブルにおいて,前後方向に対する左右方向の動きの直角からの狂いを運動(または移動)の直角度という。機械部品の直角度は直角であるべき平面形体または直線形体を幾何学的に正しい二つの平面などで挟んだときの両平面の間隔を長さの単位で表す(図1,3)。図2は三次元的に直線形体が変動するので最小領域の円筒で包みその直径で偏差を表す場合である。運動の直角度は同じ方法による長さの単位で表すか,あるいは動きの方向のこう配で表す(図3)。機械部品で直角度が悪いと組立てで片当りをして困ることがある。テーブルの移動においては直角度が悪いと正しい位置決めがむずかしくなる。この直角度はテーブルの案内が直角に交差していないこと,不完全な案内面による変位,テーブル移動によるたわみ,温度の違いなどによっておこる。立体的な機械部品を対象とすると,テーブルに対して垂直方向に動く軸の直角度が問題となる。工作機械では直角度は精度における重要な要因となっている。
執筆者:沢辺 雅二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報