日本大百科全書(ニッポニカ) 「大場松魚」の意味・わかりやすい解説
大場松魚
おおばしょうぎょ
(1916―2012)
漆芸(しつげい)家。本名勝雄。石川県金沢市に生まれる。石川県立工業学校卒業。父宗秀に就いて漆塗りの技術を修業。1943年(昭和18)から2年間上京、同郷の先輩松田権六(ごんろく)に就いて漆工全般を習得、のち帰郷して作家活動を行う。伊勢(いせ)神宮式年遷宮御神宝の制作や、中尊寺金色堂の修理を松田権六のもとで行う。日展、伝統工芸展で受賞を重ねるが、とくに、平文(ひょうもん)の技法に優れ、現代的図案と精緻(せいち)な技術が調和した作品を制作している。金沢美術工芸大学名誉教授。1982年(昭和57)に国の重要無形文化財「平文」保持者に認定された。
[郷家忠臣]
『大場松魚・島崎丞・柳橋眞著、大堀一彦撮影『蒔絵大場松魚』(1997・アローアートワークス)』