大嶺植物群(読み)おおみねしょくぶつぐん

改訂新版 世界大百科事典 「大嶺植物群」の意味・わかりやすい解説

大嶺植物群 (おおみねしょくぶつぐん)

山口県美祢市大嶺町周辺に分布する上部三畳系美祢層群(およそ2億年前)と呼ばれる地層中に含まれる化石植物総称。三畳紀後期の各種のトクサ,シダ(とくにヤブレガサウラボシ科のものが多い),ソテツ葉類,イチョウ球果類などの化石がみごとに保存されている。植物の化石は,その植物体の一部分しか知られていない場合が多いが,大嶺植物群の中には,アステロセーカ・オカフジイAsterotheca okafujiiリュウビンタイ科)やネオカラミテスNeocalamites(トクサ目)など,植物の全体の体がほとんど完全な形で知られているものが多く,古生物学的に重要な資料となっている。また三畳紀に限って生育したと考えられる球果の類も多く,これらは当時の日本の植生を知るのに役立っている。採集された化石の多くは,大嶺町にある美祢市歴史民俗資料館に展示されている。美祢層群中には炭層をはさむ。日本の炭層の大部分は,古第三紀(およそ5000万年前)のものであるから,美祢層群の炭層は日本では古いもののうちの一つである。大嶺炭田はこの炭層を採掘している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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