裸子植物のマツ科、スギ科、ヒノキ科、ビャクシン科のような、いわゆる針葉樹類の果実を総称していう。これらの植物は雌雄異花で、マツ科やスギ科では多数の雌花が一つの軸上に螺旋(らせん)状につき、ヒノキ科では数個の花が2個ずつ対(つい)につく。この雌花が成熟すると、軸上に木質化した多くの鱗片(りんぺん)をつくり、全体としてこれが球状あるいは楕円(だえん)体状を呈するので球果という。とくにマツ科植物の場合に球果を「まつかさ」という。
球果の鱗片は乾湿運動によって開閉し、鱗片の上について裸出している種子が散布される。この鱗片は若いときは種鱗(しゅりん)といい、この上面に胚珠(はいしゅ)がついている。種鱗の下側の基部に包鱗(ほうりん)があり、マツ科では小さく離生しているが、スギやコウヤマキでは大形で種鱗と包鱗は癒合している。つまり、鱗片はこの二つのものからできている。種鱗は多くの場合木質化するが、ネズ属では肉質の液果状で、そのためこれを肉質球果ということがある。クロマツでは開花の翌年に球果となる。
[吉田 治]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…マツ,スギ,ヒノキ,マキなど一般に球果をつくる植物群の総称で,ソテツ類,グネツム(マオウ)類とともに裸子植物を三分する分類群。コルダイテス目,球果目,イチイ目を含み,広義にはイチョウ目を加えることもある。…
※「球果」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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