日本大百科全書(ニッポニカ) 「大師会」の意味・わかりやすい解説
大師会
だいしかい
京都の光悦(こうえつ)会とともに近代を代表する大茶会。1895年(明治28)財閥三井の総帥益田鈍翁(ますだどんおう)が、入手した狩野探幽(かのうたんゆう)秘蔵の弘法(こうぼう)大師筆座右銘十六字の一巻を披露する茶会を、大師の縁日にあたる3月21日、東京品川御殿山(ごてんやま)の自宅で催したことに始まる。以後、根津青山(せいざん)、藤田香雪(こうせつ)、松平直亮(なおあき)、藤原銀次郎、原三渓(はらさんけい)などの財界の巨頭が持ち回りで毎年開催するようになり、大師会と名づけられ、メンバーになることが財界における地位の象徴となるまでになった。1922年(大正11)には法人組織に改められ、御殿山のほか横浜三渓(さんけい)園、護国寺が会場として使われてきたが、現在では根津美術館に移って、毎年4月21日に行われている。
[筒井紘一]