大後方(読み)だいこうほう(英語表記)dà hòu fāng

改訂新版 世界大百科事典 「大後方」の意味・わかりやすい解説

大後方 (だいこうほう)
dà hòu fāng

後方〉とは一般に戦争における〈前線〉に対する用語だが,中国では1937年から45年にいたる抗日戦争期,日本軍の勢力の直接及ばない地区を〈大後方〉と呼んだ。抗日戦争期には,日本軍占領地区,中国共産党指導下の前線の抗日遊撃地区とその直接の後方である抗日根拠地,および日本軍の勢力の及ばない地区が,流動しつつ並存していたが,大後方は,この第3の地区,すなわち中国西南・西北部の重慶を戦時首都とする国民党支配地区を指した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の大後方の言及

【中華民国】より

…日本軍の占領地域では,1937年12月に北京で中華民国臨時政府が組織されて華北5省の支配に当たり,38年3月に南京で中華民国維新政府が組織され,江南・長江(揚子江)流域の支配に当たった。これらはやがて40年3月に汪兆銘を頭につくられる〈統一〉傀儡(かいらい)政権=中華民国国民政府(汪兆銘政権,南京)に統合されるのだが,抗日戦争中の中国は,大きくいって日本・傀儡政権支配下の〈淪陥区〉と重慶政府に属する〈大後方〉の二つの部分に分かれていたのである。さらにいえば,共産党の辺区政府は独立自主の原則をかかげた別組織であったばかりでなく,淪陥区のなかに多くの抗日根拠地(解放区)をつくりあげ,日本軍・傀儡軍をして点と線の維持に汲々たらしめていた。…

※「大後方」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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